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刑事法ガイド

タイの「送金用名義口座」事件と示談:取下げはできるのか、支払えば終わるのか

タイの名義口座・オンライン詐欺事件で示談は可能か。調停ができる場面、交渉すべきタイミング、必ず受け取るべき書面、そして「支払ったのに事件が続く」理由。スワンナワラ法律事務所 刑事チーム。

スワンナワラ法律事務所刑事訴訟チーム7 min read

誰もが最初に聞くこと

口座が凍結された、あるいは呼出状が届いた——このとき最初に出る言葉はほぼ同じです。「返金すれば終わりますか」

一部は終わりますが、全部は終わりません。そして順序が決定的に重要です。自分の立場を把握しないまま急いで支払った方の多くは、お金を払ったうえで事件も残るという結果になっています。

本稿は一般的な情報であり、個別事案に対する法的助言ではありません。事案ごとに事実関係は異なります。早い段階で弁護士にご相談ください。

はじめての状況であれば、まず名義口座 防御ガイドをお読みください。

「示談できるか」に一言で答えられない理由

名義口座事件で罪名が一つだけということはまずありません。複数が同時に立ち、それぞれ性質が異なります。

取下げ可能な罪名 — 被害者が納得し、法定期間内に告訴を取り下げれば、その罪名は終了します。交渉が直接効く部分です。

国家が被害者となる罪名 — 私人である被害者には取下げの権限がなく、捜査機関と検察は手続を続けます。

名義口座事件は通常その両方を含みます。そのため、依頼者が最も戸惑う事態が起こります。被害者は取り下げたのに、事件はまだ動いている——騙されたわけではなく、残った罪名がもともと取下げの対象外なのです。

それでも交渉する価値はあるか — あります。賠償と被害の軽減は、捜査官の意見、検察の処分判断、保釈の判断、量刑の裁量、そして被害者が別途起こしうる民事請求の遮断において意味を持ちます。

調停が行われる場面

捜査段階(警察署) — 最も速く、多くの場合最も有効です。記録がまだ移送されておらず、告訴人はこの時点では処罰よりも返金を望むことが多いためです。リスクは、警察署での発言が記録されうる点で、弁護士なしで臨むと意図しない自白になりかねません。

正式な紛争調停の窓口 — 中立の調停人が入り、書面の合意が作られます。チャットのやり取りより格段に重みがあります。

裁判所 — タイの裁判所は和解を積極的に勧めており、多くの事件がここで解決します。ただしここまで来た時点で、時間と費用の負担はすでに発生しています。

完全に私的な交渉 — 可能ですが最も危険です。中立の第三者も標準書式もなく、二次被害が最も多く発生する場面でもあります。連絡してきた相手が被害者本人ではなく、本当の被害者には一円も渡っていなかった事例が実際にあります。

タイミング

依頼者にお伝えしている原則は、自分の事実関係を把握した後、できるだけ早くです。動揺した直後に急ぐことではありません。

交渉を始める前に、少なくとも次を把握してください。

  1. 告訴が何件、どの警察署にあり、告訴人が何名いるか
  2. 実際に自分の口座と結び付く金額はいくらか(グループ全体の総額ではなく)
  3. 記録上の自分の立場(被疑者・参考人・凍結された口座名義人のいずれか)
  4. 凍結残高のうち自分自身の資金がいくらあるか

特に 2 が重要です。名義口座事件は複数層の口座を経由するため、グループ全体の被害総額は、あなたが負うべき金額ではありません。これを知らずに交渉した方は、実際の関与額をはるかに超える請求を受けがちです。

よくある落とし穴

  • 被害者でない相手に支払う — 送金前に本人性と記録との関係を必ず確認する
  • 責任を認める文言のある書面に署名する — 賠償にその文言は不要
  • 領収書も合意書もないまま送金する — 賠償した事実を後で証明できない
  • グループ総額を前提に交渉する — 自分の裏付けのある範囲で交渉すべき
  • 支払えば呼出しに応じなくてよいと考える — 毎回出頭が必要

必ず受け取るべき書面

  1. 当事者・金額・支払方法と期限・対象範囲を明記した示談書
  2. その示談書と対応が取れる支払いの証憑
  3. 取下げ可能な罪名について、担当捜査官へ提出する告訴取下書
  4. すべての書類の認証謄本(原本を全部渡さない)

これらは捜査・検察・公判の各段階で弁護士が提出し、後の口座凍結解除の申立てにも使います。

示談が成立しなかった場合

終わりではありません。誠実に交渉し賠償を申し出た証拠を完全な形で残してください。後に裁判所へ示すことができます。その上で本案の防御に戻ります。核心は常に知情または関与があったかであり、資金が口座を通過したかどうかとは別問題です。

まとめ

状況すべきこと
被害者から返金要求の連絡金額に応じる前に記録を確認させる
賠償で立場を軽くしたい書面の残る経路で行い、私的送金は避ける
署名を求められた毎回、弁護士に先に読ませる
合意ができた示談書・支払証憑・告訴取下書を保管
交渉が不成立交渉の証拠を残し、本案の防御へ

順序の正しい交渉は有効です。しかし自分の事実を知る前の交渉は、争うより高くつくのが通常です。

刑事チームとの初回相談は無料です。+66 92 254 2045 までお電話いただくか、お問い合わせページからご事情をお知らせください。


本ガイドはスワンナワラ法律事務所(1986年設立・コンケン)が作成しました。一般的な情報であり、個別事案への法的助言ではありません。

Frequently asked questions

名義口座事件は示談で取下げできますか?+

記録上どの罪名が立っているかによります。この種の事件はほぼ必ず複数の罪名が同時に立ちます。一部は親告罪的な扱いで、被害者が法定期間内に告訴を取り下げればその罪名は終了します。他方、国家が被害者となる罪名は私人が取り下げることができず、捜査機関と検察は手続を継続します。したがって支払いは事件を止めるスイッチではありませんが、複数の段階で意味を持ちます。

被害者に返金しました。事件は終わりますか?+

自動的には終わりません。返金の効果が最も明確に及ぶのは民事責任と取下げ可能な罪名です。国家訴追の罪名は通常どおり進みます。返金が果たす役割は、被害を軽減したという事実の証明であり、捜査官・検察官・裁判所の判断材料になります。だからこそ、私的な送金で済ませず書面を残す必要があります。

交渉に適したタイミングは?+

できるだけ早く、ただし自分の事実関係を把握した後に限ります。口座を実際にいくら通過したのか、告訴人が何名いるのか、記録上どの立場に置かれているのかが不明なまま急いで交渉すると、誤った金額で合意したり、自白と読める発言をしてしまう危険があります。交渉を始める前に弁護士に記録を確認させてください。

被害者が複数います。全員と示談が必要ですか?+

実務上、告訴している当事者すべてと個別に処理する必要があります。各自が独立して追及する権利を持つため、一人と合意しても他の件は消えません。名義口座事件では告訴人が複数の県にまたがることが多く、まず何件の告訴がどの警察署にあるのかを確定させることが出発点になります。

示談には先に認諾書へ署名が必要ですか?+

必要ありませんし、弁護士が読む前に何にも署名すべきではありません。示談書は、刑事上の責任を認める文言を入れずに、紛争の解決と損害の賠償という形で作成できます。不用意な一文が後に刑事事件で不利な証拠として使われることがあります。