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従業員や代理人が公務員に賄賂を贈ると会社も責任を負う:第176条と備えるべき内部統制

汚職防止法では、従業員・代理人・関連会社が会社の利益のために公務員へ賄賂を贈り、会社に適切な内部統制がない場合、会社も処罰されます。罰金は得た利益の倍数で算定されます。本ガイドでは、犯罪の成立要件、国家汚職防止委員会(NACC)の8つの指針、中堅企業が現実的に運用できる仕組みを解説します。

スワンワラ法律事務所— ビジネス法務チーム2026年10月8日10 min read
従業員や代理人が公務員に賄賂を贈ると会社も責任を負う:第176条と備えるべき内部統制

第176条の内容

タイの会社が知っておくべき贈賄禁止法は、汚職防止に関する組織法(仏暦2561年、西暦2018年)第176条です。この考え方は仏暦2558年(西暦2015年)に、旧法の第123/5条として始まりました。

第1項:贈賄者の犯罪 公務員、外国公務員または国際機関の職員に対し、職務に反する作為、不作為または遅延をさせるために、財物その他の利益を与え、与えることを求め、または与えることを約束した者は、5年以下の拘禁刑、または10万バーツ以下の罰金、もしくはその両方に処されます。

第2項:法人の犯罪 次の3つがすべて満たされる場合、会社も処罰されます。

  1. 賄賂を贈った者が会社と関係のある者である
  2. 会社の利益のために行われた
  3. 会社が、その行為を防ぐ適切な内部統制を備えていなかった

3つ目は、会社自身が管理できる点です。NACCは、法人が適切な内部統制を備えていれば責任を負わないと説明しています。したがって、事案で問われるのは「経営陣が知っていたか」ではなく、「会社に実際に機能する仕組みがあったか」です。

この法律は、タイの法律に基づいて設立された法人と、タイで事業を行う外国法人の両方に適用されます。

「会社と関係のある者」とは誰か

法律の定めは広く、法人の代表者、従業員、代理人、関連会社、または職務や権限の有無を問わず法人のために、あるいは法人の名で行為するすべての者が含まれます。

実務上、会社が見落としがちなのは、会社に代わって官公庁とやり取りする外部の人々です。

  • 会社のために税関と交渉する通関業者や運送代理店
  • 許認可や証明書、公文書の申請を請け負う業者
  • 税務や調査対応を支援するコンサルタント
  • 官公庁に販売する販売代理店や営業担当者
  • 下請業者やジョイントベンチャーのパートナー

「職務や権限の有無を問わない」という文言があるため、「従業員が会社の指示なしに勝手にやったことだ」という弁解は通用しません。

罰則と結果

  • 会社 生じた損害または得た利益の1倍以上2倍以下の罰金が科されます。金額の上限はありません。賄賂によって得た契約や許可の価値がいくらであれ、罰金はその価値に連動します。
  • 賄賂を贈った者 5年以下の拘禁刑、または10万バーツ以下の罰金、もしくはその両方です。刑法第144条も公務員への贈賄を犯罪とし、刑の重さは同じです。
  • 海外の親会社 米国や英国など、自国の贈賄禁止法の適用を受ける場合もあります。親会社がタイの子会社に方針や誓約書を送ってくるのはこのためです。

第176条が対象とするのは、タイ、外国、国際機関の公務員への供与のみです。タイ法には、民間同士の贈賄を処罰する一般的な犯罪はまだありません。しかし、顧客の購買担当者に裏金を渡す行為は別の犯罪に該当する可能性があり、ほぼすべての取引先の方針にも違反します。したがって会社の方針では、両方を禁止すべきです。

NACCの8つの指針

NACCは、法人がタイの公務員、外国公務員および国際機関職員への贈賄を防ぐための、適切な内部統制の設定に関する指針を公表しています。原則は8つです。

  1. 贈賄防止は最高経営層からの重要な方針でなければならない
  2. 公務員への贈賄に関するリスク評価を行わなければならない
  3. リスクの高い場合の措置は、詳細を明確に定めなければならない
  4. 措置を会社の取引関係者にも適用しなければならない
  5. 適切な会計の仕組みを備えなければならない
  6. 贈賄防止措置と整合する人事管理の方針を備えなければならない
  7. 違反行為や疑わしい事案の報告を促す措置を備えなければならない
  8. 措置を定期的に見直し、検査し、評価しなければならない

NACCは、この指針があらゆる種類・規模の法人に、それぞれに応じて適用されるとしています。中堅企業は上場企業ほどの仕組みは不要ですが、自社のリスクに見合い、実際に運用していることを証明できる仕組みが必要です。

会社が陥りやすいリスク

便宜供与金、いわゆる「お茶代」 公務員の作業を早めてもらうための少額の金銭です。タイ法にはこの種の金銭に関する特別な例外はなく、職務を行うために金銭を要求または受領した公務員は、その業務自体が正当であっても犯罪となります。会社の方針では例外なく禁止すべきです。例外は従業員の生命や安全が脅かされる場合のみで、その場合は直ちに報告する必要があります。

贈答品と接待 NACC告示「公務員が慣習として財物その他の利益を受領する基準に関する件」(仏暦2563年、西暦2020年)では、公務員は親族以外の者から、1人1回あたり3,000バーツまで受け取れます。この数字は受領側の枠であり、贈る側への許可ではありません。承認待ちの案件で影響を与える目的で贈れば、金額にかかわらずリスクがあります。

寄付と協賛 会社の案件を審査中の公務員に関連する機関、財団、イベントへの寄付は、承認を受け、受領先を確認し、領収書を取得すべきです。

代理人への異常な報酬 過大なサービス料、許可取得時の高額な成功報酬、現金払いの要求、第三者の口座や海外口座への送金の要求、あるいは「手続費用」とだけ書かれた請求書です。

親族や公務員の紹介者の採用 利益は金銭に限りません。採用や、公務員の親族の会社への契約の付与も、影響を与える目的で提供された利益になり得ます。

中堅企業が現実的に運用できる仕組み

書面の方針 取締役が承認し、従業員が理解できる言葉で、何が禁止され、誰が何を承認するかを定め、賄賂の支払いを拒否した従業員は、会社が仕事や時間を失っても不利益を受けないと明記します。

官公庁との接点に基づくリスク評価 税関、歳入局、工場許可や営業許可、労働検査、公共調達など、会社がどの機関と関わるかを洗い出し、最もリスクの高い接点の順位をつけます。

贈答品・接待の台帳 上限と承認段階を定め、贈ったものも受け取ったものもすべて記録します。

選任前の代理人調査 所有関係、公務員との関係、実績、サービス料の妥当性を確認し、必要な契約条項を入れます。

  • 賄賂を贈らないこと、および会社の方針に従うことの誓約
  • 項目別の請求書、および書類のない現金の引き出しの禁止
  • 会社の業務に関する書類を調査する権利
  • 同意のない再委託の禁止
  • 賄賂が判明した場合に直ちに契約を解除し、報酬を支払わない権利

会計上の統制 支払いは契約相手方の銀行口座にのみ行い、証拠のない「雑費」を認めず、異常な項目を定期的に確認します。

人事との連動 贈賄を就業規則と懲戒処分に盛り込み、リスクの高い従業員に研修を行い、管理職の評価でもこの点を考慮します。

通報窓口 従業員や取引先が直属の上司を通さずに利用でき、調査手続があり、通報者が報復を受けないよう保護されるものにします。

毎年見直し、証拠を保管します。研修記録、リスク評価の結果、検査報告書などです。問題が起きたとき、これらの書類が会社に適切な措置があったことを示すものになるからです。

タイ民間部門反汚職協力連合(CAC)の認証やISO 37001規格の取得は、法律上の免責事由ではありませんが、仕組みづくりに役立ち、重みのある証拠になります。

支払いが行われたと判明したとき

  1. 未払いの支払いをすべて止め、関係する代理人の業務を停止する。
  2. メール、メッセージ、請求書、送金記録を保全する。削除や改変は禁止。
  3. 利害関係のない調査担当者を選任し、関係者への聞き取りを体系的に行う。従業員の不正・懲戒調査サービスを参照。
  4. 当局への報告、親会社への通知、従業員の処分を決める前に、弁護士に相談する。
  5. 問題を招いた仕組みの欠陥を直し、是正内容を記録する。

贈賄防止措置のチェックリスト

  1. 取締役が承認した贈賄禁止の方針があり、全従業員に周知されている。
  2. 官公庁との接点に基づくリスク評価を、少なくとも年1回行っている。
  3. 方針で、便宜供与金を例外なく禁止している。
  4. 贈答品、接待、寄付、協賛の台帳があり、上限と承認者が定められている。
  5. 代理人、通関業者、コンサルタントを選任前に調査し、賄賂を禁止する契約条項を入れている。
  6. 契約相手方の口座にのみ支払い、異常な項目を確認している。
  7. 贈賄を就業規則に盛り込み、リスクの高い従業員に研修を行っている。
  8. 安全な通報窓口と調査手続がある。
  9. 仕組みを毎年見直し、各段階の証拠を保管している。

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Frequently asked questions

経営陣が知らないまま従業員が公務員に賄賂を贈った場合、会社は責任を負いますか。+

責任を負う可能性があります。汚職防止に関する組織法(仏暦2561年、西暦2018年)第176条により、賄賂を贈った者が会社と関係のある者で、会社の利益のために行い、会社に防止のための適切な内部統制がなかった場合、会社は犯罪となります。経営陣が知っていたこと、または指示したことは要件ではありません。会社が主張の根拠にできるのは、適切な内部統制を実際に整えていることです。

会社に科される罰則はどのくらいですか。+

生じた損害または得た利益の1倍以上2倍以下の罰金です。そのため金額に固定の上限はなく、獲得した契約の価値が高ければ罰金もそれに応じて高くなります。賄賂を贈った本人は、5年以下の拘禁刑、または10万バーツ以下の罰金、もしくはその両方が科されます。

通関業者や代理人が自分で裏金を払った場合も、会社は関係しますか。+

関係します。法律は「法人と関係のある者」に、代理人、関連会社、およびその職務や権限の有無を問わず法人のために、または法人の名で行為する者を含めて定義しています。したがって会社は、代理人を選任する前に調査を行い、賄賂を禁止する契約条項を入れるべきです。

新年の贈り物を公務員に渡してもよいですか。+

NACCの告示では、公務員は親族以外の者から、1人1回あたり3,000バーツを超えない範囲で財物を受け取れます。ただしこの数字は受け取る側の枠であり、影響を及ぼす目的の贈与が正当になるわけではありません。贈答品を受け取らない方針の機関も多くあります。会社はそれより低い上限を設け、承認待ちの案件がある期間は贈らず、毎回記録しておくべきです。

CACの認証やISO 37001を取得していれば、責任を免れますか。+

法律上の免責事由ではありません。裁判所は、実際に講じた措置が適切かどうかを個々の事案の事実に即して判断します。ただし、認証や監査を受けた文書は、会社に実際に統制の仕組みがあることを示す助けとなる証拠です。

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