結論
月額顧問の見積りは、事務所に毎月何をしてほしいか、そしてどれだけ早く対応してほしいかによって決まります。標準的な料金表はありません。見積りを動かす要因は、契約書の件数と種類、会社と支店の数、人事の人数と人事案件、求める対応時間、規制業種の許認可、会議、報告書です。さらに、何を含み何を別請求とするかも事務所ごとに異なるため、同じ会社に対する2つの見積りが大きく異なることがあります。
法的なルール。 タイにも顧問見積りを定める法律はありません。これは貴社と事務所との間の契約であり、双方を拘束するのは書面に書かれた内容です。事務所の委任条件が定型の標準約款である場合、不公正契約条項法(仏暦2540年)第4条により、約款を作成した側に不当な有利をもたらす条項は、公正かつ相当な範囲でのみ有効となり、標準約款に疑義がある場合は、作成しなかった側に有利に解釈されます。これを、範囲を明確に書面化することの代わりにしてはいけません。
当事務所の実務的な見方。 すべての事務所が同じ事実を受け取り、同じ範囲の質問に答えるなら、見積りは比較しやすくなります。目立つ金額の交渉ではなく、以下の準備資料と範囲表に労力をかけてください。報酬形態の一般論は、当事務所のタイの弁護士費用ガイドを、顧問を置く時期と顧問契約に何を書くべきかは企業の顧問弁護士の選び方をご覧ください。本ガイドはどちらも繰り返しません。
1. 事務所は見積りの際に実際に何を見ているのか
事務所は、行う業務と、貴社のために確保すべき人員を見積もっています。判断材料は主に、法律ではなく貴社の事業に関する事実です。
- 送受信する契約書の件数と種類
- 管理すべき会社と支店の数
- 従業員数と、発生する人事案件の数
- 回答にどれだけの速さと、どの連絡手段を期待するか
- 許認可を受けているか、規制業種か
- 希望する会議、現地訪問、報告書の数
次の表は、各要因を、見積りが動く理由および準備すべきものと対応させたものです。金額は一切記載していません。数字は事務所と貴社の事実によって変わるためです。
| 要因 | 見積りが動く理由 | 準備するもの |
|---|---|---|
| 月ごとの契約書の件数と種類 | 標準型の確認は、個別起草や何度も修正するものより弁護士の時間が少なくて済む | 種類別の月間おおよその件数:売買、供給、サービス、賃貸、NDA |
| 標準型か個別起草か | 代替案を決めてあるひな形は早く適用できる。個別の条件はより検討が必要 | 貴社のひな形と、担当者が変更してよい条項・いけない条項 |
| 言語 | タイ語、英語、二言語の起草は業務を増やす。二言語契約は両版の意味を一致させる必要がある | 契約種類ごとの言語と、どちらの版が優先するか |
| 交渉の回数 | 意見が返ってくるたびに確認の時間が増える | 大きな案件での通常の回数 |
| 会社と支店の数 | 法人が増えれば、書類、署名者、記録も増える | 法人・支店の一覧と、それぞれの署名者 |
| 人事の人数と人事案件 | 就業規則、雇用契約、警告書、紛争は別系統の業務になる | 従業員数、現行の就業規則、最近の人事上の問題 |
| 求める対応時間 | 当日回答には、あらかじめ人員を確保しておく必要がある | 緊急の案件と、貴社にとっての「緊急」の意味 |
| 顧客側の窓口 | 窓口が1つなら、説明の繰り返しや相反する指示が減る | 窓口担当者1名と代行者1名の氏名 |
| 規制業種または許認可 | 許可の条件や更新により、通常の契約書以外の確認が増える | 許認可の一覧と更新期限 |
| 会議と現地訪問 | 会議や移動の時間は他の顧客に使えない時間である | 想定頻度、対面かオンラインか |
| 報告書 | 月次の書面報告には作成の時間がかかる | 必要かどうか、およびその目的 |
2. 通常含まれるもの、別請求となるもの
実務は事務所により異なり、以下のいずれも標準料金として示すものではありません。次の各項目について、月額に含めるのか、別請求とするのかを、各事務所に明示してもらってください。
- 訴訟と出廷。多くの事務所は業務開始前に別途見積ります
- 裁判所や行政機関の手数料。裁判所や機関に直接支払います
- 翻訳と公証
- 事務所の所在地域外への出張
- 大規模な買収や資金調達など、非常に大きな取引
- 新規の契約書全体の起草(貴社から送られた契約書の確認とは別)
- 営業時間外の業務
当事務所の顧問サービスについて、当サイトは範囲を次のとおり説明しています。担当弁護士が月額で、日常的に使う契約書の確認、日々の相談への回答、催告書の発送、裁判に至る前の紛争解決を行い、範囲と月間の業務量は事前に合意します。訴訟は別途、業務開始前に見積ります。企業向け顧問弁護士をご覧ください。
3. 見積りを同じ基準で比較するには
範囲がそろうまで、月額を比べないでください。1つの表を作り、すべての事務所に同じ行を記入してもらいます。
| 質問 | 事務所A | 事務所B | 事務所C |
|---|---|---|---|
| 担当弁護士と代行者 | |||
| 月に含まれる契約書確認の件数 | |||
| 新規契約書の起草:含むか否か | |||
| 対応言語 | |||
| 含まれる人事案件 | |||
| 対応時間(通常・緊急) | |||
| 会議と現地訪問 | |||
| 月次報告書 | |||
| 合意した量を超えた場合 | |||
| 別請求となるもの(一覧) | |||
| 訴訟:いつ、どのように見積るか | |||
| 期間、見直し、終了 |
空欄を残す事務所は、貴社が必要とする情報をすでに伝えています。業務量を事前に合意する場合は、繁忙月にどうなるか、使い切らなかった分を繰り越せるかを尋ねてください。この2つの答えは、目立つ金額より実際のコストを大きく変えます。
4. 見積りを依頼するときに何を送るか
事務所は見えている情報しか見積れません。資料が揃っていれば、やり取りが短くなり、回答が比較できるようになります。
準備資料
- 会社概要。 法人名、事業、法人・支店の数、署名者。
- 過去3か月から6か月の法務案件(種類別)。 例:確認した契約書、催告書、人事上の問題、寄せられた相談。おおよその件数で十分です。
- 使用中の契約書ひな形。 販売条件、供給、サービス、NDA、雇用契約、就業規則。
- 未解決の紛争と、請求すると言われている件。 何が未解決かを率直に伝え、後で判明するのではなく別業務として見積れるようにします。
- 人事の人数。 従業員数と、就労許可が必要な外国人がいるか。
- 言語。 どの書類がタイ語、英語、二言語か。
- 決裁者。 誰が契約を承認し、誰が弁護士に指示でき、誰が唯一の窓口か。
- 希望する連絡手段と時間。 メール、LINE、電話、共有フォルダ、そしていつ回答を期待するか。
- 規制対象の活動。 保有する許認可と更新期限。
- 毎月見たいもの。 報告書、契約台帳、会議、または不要。
契約の管理プロセスがない場合は、整備した後のほうが資料を用意しやすくなります。当事務所の法務部門がない場合の契約書確認・承認プロセスのガイドをご覧ください。
5. 顧問提案の危険信号は何か
- 「何でも無制限」という約束。 すべての法務を1つの金額で、制限の記載なしに引き受けるなら、制限は通常ほかの場所に隠れています。
- 書面の範囲がない。 範囲が書かれていなければ、3か月目には双方が異なる範囲を想定します。
- 担当弁護士が特定されていない。 貴社の事業を知る人にアクセスできることを買うのですから、それが誰かを尋ねてください。
- 対応時間の記載がない。 「できるだけ早く」は約束ではありません。
- 訴訟について何も触れていない。 別途見積りか、いつ見積るかを知っておくべきです。
- 利益相反について何も触れていない。 事務所が貴社の相手方を代理する場合にどう対処するかを尋ねてください。
- 終了条件がない。 契約がどう終了し、何が返却されるかを尋ねてください。
6. 大きな会社でないと見積りを依頼できないのか
いいえ。小さなチームの会社でも、契約書や人事の相談が絶えず発生することがあります。重要なのは、月間の業務量が範囲を事前に合意できる程度に予測できるかどうかです。できない場合は、小さな合意量の顧問契約か、案件ごとの依頼のほうが合うことがあります。当事務所の人事書類を弁護士に確認してもらうべき時期のガイドは、どの程度の人事業務が見込まれるかを判断する助けになります。
7. 顧問契約が始まったら何を確認するか
顧問が機能しているかをどう判断するか、最初に合意しておきます。最初の月の成果物は企業の顧問弁護士の選び方にあります。その後は、紛争のない月にどのような価値の証拠があるかを説明した、顧問弁護士の成果の測り方と経営層向けレポートのガイドをご覧ください。
見積り依頼前のチェックリスト
- 貴社側の窓口を1名指名した
- 準備資料が揃っている(第4節)
- すべての事務所に同じ資料を送る
- 範囲表を用意した(第3節)
- 各事務所に別請求の項目を挙げてもらう
- 通常・緊急の対応時間を尋ねた
- 訴訟の扱いを書面で求めた
- 期間、見直し、終了について尋ねた
関連ガイド
顧問見積りは貴社が説明した業務を反映します。すべての事務所に同じ事実を伝え、金額の前に範囲を比べ、除外事項を書面にしてもらってください。
当事務所は、タイの企業の顧問弁護士として、範囲と月間の業務量を事前に合意したうえで対応しています。初回相談をご希望の方は、お電話 +66 92 254 2045 または詳細をお送りください。詳しくは企業向け顧問弁護士、契約書および各種書類、人事関連書類をご覧ください。
本ガイドはスワンワラ法律事務所(コンケン県の法律事務所、1986年設立)が発行したものです。一般的な情報であり、特定の事項に関する法的助言ではありません。

