ブランドが提携先の店に商品を預け、売れたら支払ってもらう約束にしていたとします。3か月後に棚卸しをすると商品の一部が見当たらず、店は「知らない」と言い、本来振り込まれるはずの販売代金も届いていません。誰が責任を負うのでしょうか。ほぼ毎回、原因は引き渡しの時点にあります。委託販売なのか買取なのかを明確にせず、記録も残していなかったのです。
本ガイドでは、2つの形態の違い、受託者の義務、契約に書くべきこと、残すべき証拠、在庫が消えたときの損失負担、不払いが民事の紛争を超えて刑事問題になり得る場面を説明します。販売の仕組みを選んでいる段階なら、代理、仲介、リセラーもお読みください。在庫が残ったまま取引を終える場合は、販売代理店契約の終了をご覧ください。
結論
責任の所在は2点で決まります。契約(または立証できる合意)がリスクをどう配分しているか、そして受託者が注意義務に違反したかどうかです。買取販売なら商品は買主のものなので、紛失の損失は買主が負い、代金も支払う必要があります。真の委託販売なら商品は供給者のものですが、受託者は他人のために行為する者として商品を管理し、受け取った代金を引き渡さなければなりません。
法律の枠組み 所有者に代わって売る受託者は、一般に民商法典第797条の代理人にあたり、自己の名で営業として売る場合は第833条の問屋(商事代理人)にあたり得ます。代理人は注意を尽くし、指示に従い、経過を報告し、計算を示す義務を負い(第809条から第812条)、代理に関して受け取ったすべての金銭と財産を引き渡さなければなりません(第810条)。関係する刑事上の罪は、刑法第352条の横領です。
当事務所の実務上の見方 委託販売の紛争は、「委託」という言葉ではなく書類で決まります。署名入りの納品書、在庫報告、毎月の販売報告を持つ所有者は、商品も代金も取り戻しやすくなります。チャットのメッセージだけに頼る所有者は、何を送ったかの立証に何か月も費やすことになります。
仮想事例 コンケンの絹織物業者「プーパー・マットミー」が、ウドンタニの土産物店に、定価1枚1,800バーツのマットミー絹織物120枚を預けました。売れた分を毎月15日に送金するという口頭の約束でした。納品書は品目の記載だけで、受取人の署名がありません。4か月後、店は一度しか送金していません。訪問して数えると棚に60枚ありました。店は48枚(86,400バーツ)を売ったが未送金であり、12枚(21,600バーツ)は行方が分からないと言います。本ガイドでは、この事例を通して説明します。
1. 委託販売と買取販売はどう違うのか
| 項目 | 買取販売 | 委託販売 |
|---|---|---|
| 所有権 | 引渡しの時、または合意した時に買主へ移る | 最終顧客に売れるまで供給者に残る |
| 支払義務 | 転売できるかどうかに関係なく合意代金を支払う | 売れた時に、合意した周期で支払う |
| 売れ残り | 買主の危険 | 供給者に返還する |
| 商品の紛失 | 買主が損失を負い、代金も支払う | 契約と受託者の過失による |
| 受取人の地位 | 買主 | 代理人、場合により問屋(商事代理人) |
当事者が使う呼び名は裁判所を拘束せず、実質が見られます。納品書が「売渡し」か「委託」か、価格が確定した売買価格か定価か、受取人が返品できるか、在庫を確認しているか、といった点です。書類が混在している場合、例えば返品を話し合いながら請求書には「売渡し」と書いてあるときは、この点を明確にする1つの契約を作ってください。注文書類の食い違いについては、見積書と発注書の条件が食い違う場合をご覧ください。
仮想事例では、買取販売であることを示す書類がなく、売れたら支払う約束だったため、委託販売である方向の事情はありますが、ほかの証拠による裏付けが必要です。
2. 受託者は法律上どんな義務を負うのか
受託者が代理人とみなされる場合、契約や督促状で引用するのに適した義務は次のとおりです。
- 商品の管理と販売に注意を尽くし、所有者の合理的な指示に従う(第809条から第812条)。
- 所有者の求めに応じて経過を報告し、計算を示す。
- 代理に関して受け取った金銭その他の財産をすべて引き渡す(第810条)。
- 同意なしに、自己のために所有者と契約しない(第805条)。
注意点として、第833条の「問屋(商事代理人)」は自己の名で売るため、最終顧客は商品が誰のものか知らない場合があります。所有者は顧客に直接請求しにくく、受託者に請求することになります。そのため、受託者側の管理が非常に重要です。
3. 委託販売契約には何を書くべきか
- 所有権 最終顧客に売れるまで商品は供給者のもの。受託者は別に保管し、担保や質に入れない。
- 危険と保険 紛失、損傷、盗難の損失を誰が、いつから負うか。受託者に保険加入義務があるか、いくらか。
- 価格 最低定価、認める値引き、受託者の取り分または報酬。
- 棚卸し 頻度(例えば毎月)、予告のうえで立ち入る権利、誰が数量確認に署名するか。
- 販売報告 形式と期限(例えば翌月5日まで)。
- 送金期限 例えば15日まで。遅延利息または相当な違約金を定める(第379条から第383条参照。過大な違約金は裁判所が減額できる)。
- 許容損耗 ある場合は明確な割合または数量と、その立証方法。
- 売れ残りの返品 期限、運賃の負担者、返品時の状態。
- 契約終了 終了事由、予告期間、終了日の締め棚卸し。
そのまま調整して使える条項例です。
第4条 所有権と危険
4.1 添付の納品書に記載した商品は、受託者が顧客に販売し代金を受領するまで、委託者の所有物とする。
4.2 受託者は商品を別に保管し、商品を受領して署名した時から、紛失または損傷の危険を負う。
ただし、防止できない不可抗力によることを受託者が立証した場合は除く。
第5条 棚卸しと報告
5.1 委託者は、2営業日前に通知して、月1回、在庫を数えることができる。
5.2 受託者は、翌月5日までに販売報告を送付する。
5.3 受託者は、販売した商品の代金を翌月15日までに送金する。
4. どんな証拠を残すべきか
証拠は、引渡し、保管、販売の3段階に分かれます。
- 引渡し 受託者が署名した納品書(品目、商品コード、数量、定価、日付)と、商品と梱包の写真。
- 保管 共同で数えた在庫カードまたは在庫報告と、各回の棚の写真。
- 販売 POSの報告または販売帳、領収書、受託者が送る毎月の販売報告。
書類は電子データでも構いません。電子署名や確実に保存されたメッセージは、電子取引法(仏暦2544年)に基づき証拠となり得ます。ただし、こちらの報告に相手が黙っているだけでは署名ほど明確な承諾になりませんので、毎回メールやチャットで数字を確認してもらってください。
5. 在庫が消えたとき、誰が損失を負うのか
検討の順序は次のとおりです。
- 実際に何を引き渡したか。 署名入りの受領書がなければ、所有者はほかの証拠で立証する必要があります。
- 契約はリスクをどう配分しているか。 受託者が負う定めなら、合意した条件と許容損耗の範囲で受託者が賠償します。
- 契約が定めていない場合。 受託者が代理人に求められる注意を尽くしたかを見ます。倉庫に施錠しない、他人に商品を持ち出させるなど不注意があれば、契約責任または不法行為責任で賠償します(損害賠償は第222条)。
- 所有者自身の過失。 棚卸しの権利がありながら一度も数えなかった場合は、第223条により賠償額が減額されることがあります。
- 不可抗力。 洪水や火災などで受託者が防止できなかったと立証し、契約がその危険を受託者に負わせていない場合は、結論が変わり得ます。
仮想事例では、紛失した12枚の帰結は、プーパー・マットミーが120枚を送ったと立証できるか、店が相当な注意で保管していたかによります。全額回収できると前もって決めつけるべきではありません。
6. 毎回行うべき照合表
| 行 | 計算 | 例(枚) |
|---|---|---|
| 期首残高 | 在庫カードによる期首在庫 | 120 |
| 加算:追加納品 | 納品書による | 0 |
| 減算:報告上の販売 | POSまたは販売帳による | 48 |
| 減算:所有者への返品 | 返品書による | 0 |
| 帳簿上の残高 | 120 + 0 − 48 − 0 | 72 |
| 実数 | 共同棚卸しによる | 60 |
| 差異 | 72 − 60 | 12 |
| 差異の金額 | 12 × 1,800バーツ | 21,600バーツ |
| 送金すべき金額 | 48 × 1,800バーツから契約上の取り分を控除 | 取り分控除前86,400バーツ |
ゼロでない差異は、毎回書面で説明を残す必要があります。数回分を放置すると、後から立証するのが非常に難しくなります。複数のチャネルで販売し、手数料と入金を照合する事業者は、複数プラットフォームのEC照合をご覧ください。
7. 不送金は横領にあたるのか
不払いの大半は債務に関する民事の紛争ですが、刑法第352条の横領にあたり得る場合もあります。他人の財産(または他人も持分を有する財産)を保管する者が、不正に自分または第三者のものとする場合で、例えば、委託品を売って代金を自分で使い、販売を否定する、委託在庫を持ち出して他所で売る、といった場合です。不正の意図を示すのに役立つ事実は、販売の隠蔽、報告の偽造、連絡の遮断、商品の移動、取り決めの存在の否定などです。
知っておくべき点として、この罪は告訴があれば和解可能な犯罪(第356条)であり、被害者は犯罪と犯人を知った日から3か月以内に告訴する必要があります(刑事訴訟法第96条)。被害届は債権回収の手段ではなく、支払わせるために告訴をほのめかすことは、言った側の問題になり得ます。事実が構成要件に当てはまるかを事前に相談し、民事の手続を並行して進めてください。
8. 商品と代金を取り戻す手順
- 証拠を集めて固定する。 納品書、報告、メッセージ、写真、第6項の照合表。
- 棚卸しと報告を書面で求める。 契約上の権利を引用し、明確な日を指定する。
- 督促状を送る。 未払額、期限(例えば7日から15日)を記載し、守られなければ法的措置をとると伝える。配達証明付きの書留とメールで送る。
- 商品を引き取る。 まだ自社のものである売れ残りは、署名入りの返品書と引き換えに回収する。許可なく立ち入って持ち出さない。
- 債務承認書の締結を交渉する。 認める金額と、あれば分割計画を記載する。
- 民事訴訟を提起する。 債権回収と強制執行と法人顧客の未払い請求書の手順に従う。
- 刑事手続を検討する。 事実が当てはまるなら、第7項の3か月以内に判断する。
調整して使える短い督促文です。
拝啓 ...(受託者)
納品書番号 ... 号(日付 ...)の絹織物120枚について、御社の報告では48枚が販売済みですが、
15日の支払期限を過ぎても送金がなく、...日の棚卸しでは残りが60枚でした。
86,400バーツをお支払いいただき、不足している12枚について、...日までに書面でご説明ください。
対応がない場合、私は法に基づく権利を留保します。
商品を委託に出す前のチェックリスト
書類
- 買取販売ではないと明記した書面の委託販売契約がある
- 各回の納品書に品目、数量、定価があり、受取人の署名がある
- 引渡し時の商品と梱包の写真がある
管理
- 棚卸しの周期と、確認に署名する担当者を決めた
- 販売報告の期限と送金日を決めた
- 毎回の照合表を作り、差異の理由を書面で残す
リスク
- 紛失の危険を負う者と保険を定めた
- 許容損耗(ある場合)と返品条件を定めた
- 不履行時の手順(督促状、違約金、契約終了)がある
関連ガイド
- 代理、仲介、リセラー — 実際の関係に合う販売の仕組みを選ぶ
- 販売代理店契約の終了 — 取引終了時の残在庫と顧客の扱い
- 複数プラットフォームのEC照合 — 販売と入金の突き合わせ
- 法人顧客の未払い請求書 — 事業間の債権回収の順序
- 債権回収と強制執行 — 督促が効かないときの提訴と執行
- 見積書と発注書の条件が食い違う場合 — 双方の書類が矛盾するとき
- 製品回収の責任分担 — ブランド、製造者、販売業者の役割分担
安全な委託販売とは、商品の所有者、危険の負担者、棚卸しの時期、送金の時期を明確に書き、毎回の記録を残すことです。
当事務所は、委託販売契約、納品書、照合表の作成・確認と、商品や代金を求める督促状の作成をお手伝いします。初回相談をご希望の方は、+66 92 254 2045 までお電話いただくか、詳細をお送りください。あわせて契約書・ビジネス文書の作成もご覧ください。
本ガイドはスワンワラ法律事務所(コンケン県の法律事務所、1986年設立)が発行したものです。一般的な情報であり、特定の事項に関する法的助言ではありません。

