葬儀が終わると、家族のひとりが領収書の束を抱えていることがよくあります。初日から現金を払い、送金を重ねたのがその人だからです。遺産分割の段になって、きょうだいの誰かが「葬儀が大きすぎた」「こんなやり方で良いとは言っていない」と言い出します。このガイドはその問題だけを扱います。葬儀費用を遺産に請求できるのは誰か、どこまでか、どんな証拠を残すか、相続人が金額を争うときどうするかです。遺産管理の全体像は相続の総合ガイドを、遺産管理者が沈黙したり分配しないときは遺産管理者が分配せず返事もしないときのガイドをご覧ください。
結論
法的根拠(民商法典) 第1649条は、葬儀を行う権限と義務を誰が負うかを定めています。最初に来るのは、故人が指定した遺産管理者です(故人が葬儀のために別の者を特に指定した場合を除く)。いない場合や相続人が誰にも委ねていない場合は、遺産を最も多く受け取る者が義務を負い、利害関係人の申立てにより裁判所が別の者を選任する場合は別です。第1650条は、葬儀を行うために債務を負った者が、第253条(2)の先取特権でこれを請求できるとしますが、額は「故人の社会的地位にふさわしい相当な額」に限られ、故人の債権者の権利を害してはなりません。第1739条は、故人の葬儀費用を、遺産の共益費用に次ぐ第2順位とし、未払いの租税や通常の債務より先に置いています。ただし特別の先取特権を持つ債権者や、抵当または質で担保された債権者を害しません。
当事務所の実務上の見方 葬儀費用の争いは、条文で勝敗が決まることはほとんどなく、証拠と各項目の相当性で決まります。初日から帳簿をつけ、領収書をすべて保管し、いくら使ったかを相続人に書面で知らせていた人は、たいてい裁判所に行かずに解決します。式に必要な範囲を超える項目は、他の点でどちらが正しくても削られる傾向があります。
仮の事例 ブンチュアイさんがコンケンで亡くなりました。遺言も遺産管理者もありません。子は、マリ、タナ、スダの3人です。マリは父と同居しており、3夜のお通夜を取り仕切りました。立て替えて送金した額は約186,000バーツです。後にタナは、楽団の手配と大規模な会食には同意していないと言います。この家族を本文を通して使います。
1. 誰に葬儀を行う義務があり、立て替えた人は必ずその人でなければならないか
第1649条の順序は次のとおりです。
- 遺言で故人が指定した遺産管理者に、葬儀を行う権限と義務があります。故人が葬儀のために別の者を特に指定していた場合は除きます。
- 故人が遺産管理者も葬儀の担当者も指定せず、相続人も誰にも委ねなかったときは、遺産を(遺言によるか法定によるかを問わず)最も多く受け取る者に権限と義務があります。
- 利害関係人のひとりが申し立てたとき、裁判所は相当と認めれば別の者を選任できます。
条文の文言に注意してください。後から裁判所が選任した遺産管理者は、条文が「故人が指定した」者を挙げているため、1の項目に当然には入りません。また相続人が自ら葬儀の担当者をひとり委ねることもできます。多くの家庭では、親と同居していた子が喪主になるなど、暗黙の了解で決まります。
したがって、立て替えた人が法定の義務者であるとは限りません。第1650条は、葬儀を行うために債務を負った「者」と述べています。しかし、あなたが第1649条の権限者ではなく、相続人も同意していなかった場合、必要性と金額をめぐる争いは厳しくなります。結果は事実次第ですので、請求書を送る前に弁護士に状況を確認してもらってください。
2. いくら回収できるか、「地位にふさわしい」とは何か、弁済順位はどうなるか
地位にふさわしい額 第1650条の最後の部分は、取り置く額や請求できる額を「故人の社会的地位にふさわしい相当な額」に限っています。法律は金額を定めていません。裁判所は、故人の職業や立場、地域や宗教の慣習、家族や地域社会の規模、遺産の資産、実際に行った式との比較などの事実を見ます。故人の地位をはるかに超える行事は、家族が自ら望んだものであっても一部が減額されることがあります。
債権者を害さない 同じ条文は、故人の債権者の権利を害してはならないとしています。遺産に債務が多く資産が足りない場合、葬儀費用を理由に、より優先する債権者の取り分が減ることはありません。
弁済順位 第1739条は遺産の債務を次の順に並べています。(1)遺産の共益費用、(2)故人の葬儀費用、(3)未払いの租税、(4)事務員、使用人、労働者への未払い賃金、(5)日々必要な生活用品の代金、(6)通常の債務、(7)遺産管理者の報酬。特別の先取特権を持つ債権者や、抵当・質で担保された債権者の権利を覆すものではありません。したがって、相当な葬儀費用は、相続人がどの取り分を受け取るよりも前に返済されます。
葬儀が遅れそうなとき 第1650条は、葬儀が遅れそうな場合、葬儀の権限者が遺産から相当な額を取り置けるとも定めています。異議のある利害関係人は裁判所に申し立てられます。実際には、銀行は自行の所定書類や裁判所の命令がなければ故人の口座から支払わないことが多いため、銀行に確認せずに「先に引き出す」計画を立てないでください。
3. 遺産に当たらない金銭は何か、香典は誰のものか
請求額を計算する前に、死亡を理由に入ってくる金銭を、遺産に当たるものと当たらないものに分けてください。
- 指名された受取人に支払われる金銭 社会保険の葬祭給付、火葬互助会からの支払い、勤務先の福利厚生、受取人が指名された生命保険などです。一般に、制度の規則や保険証券により受取人のものであり、制度の規則が別に定めていない限り、故人の遺産ではありません。このガイドでは社会保険の給付額は示しません。誰が申請でき、現在の条件がどうなっているかは、社会保障事務所(www.sso.go.th)で確認してください。
- 香典(弔問の際に渡す封筒) 渡した人は通常、式を営む喪主を助ける意図で渡しており、故人の遺産を増やす意図ではありません。しかし相続人が複数いると、喪主のものか、請求前にまず差し引くのか、分けるのかをめぐって争いになりがちです。すべての場合に通用する確立した規則は見当たらないため、家族で合意して帳簿に書いておくべき事項として扱ってください。香典を先に差し引くと、遺産に請求する額がそれだけ減り、争いは軽くなるのが普通です。
注意点があります。給付がひとりの受取人の口座に入ったからといって、他の相続人から見て、受取人がそのすべてを自分のものにしてよいとは限りません。受取人が喪主で、式のために受け取った場合、他の相続人はその使途の開示を求めることが多いです。同じ帳簿に載せておくのが最も安全です。
4. どの項目が通常は相当で、どれが争われやすいか
表は一般的な目安であり、裁判所の基準ではありません。相当性はその家族の事実に即して判断されます。
| 項目 | 通常は相当 / 争える / 通常は認められにくい | 備えるべき証拠 |
|---|---|---|
| 死亡診断書関係、病院や他県からの遺体搬送 | 通常は相当 | 領収書または受領書、死亡届 |
| 寺院への費用、葬儀会場、火葬場、火葬 | 通常は相当 | 寺院の領収書、見積書 |
| 慣習に沿った棺と飾り付け | 地位に見合えば通常は相当。非常に高価な棺や花輪は争える | 領収書、写真 |
| 僧侶へのお布施、僧侶の招請、読経や説法の謝礼 | 慣習上、通常は相当 | 寺院の一覧、金額の記録、受領の確認(あれば) |
| 参列者の飲食 | 参列者数に見合う水準なら通常は相当。明らかに過大な会食は争える | 飲食店の領収書、予約、卓数 |
| 花、写真、追加の音楽や余興 | 争える | 見積書、相続人が同意したかの証拠 |
| 慣習による7日、50日、100日の供養 | 争えることが多い。地域の慣習と行事の規模による | 領収書、相続人の承認メッセージ |
| 会葬記念の冊子、記念品 | 数量が参列者に見合えば通常は相当 | 印刷所の領収書 |
| 骨揚げ、散骨、後日の納骨 | 慣習的な葬儀の一部で、火葬後まもなく行われたなら争える | 領収書、合意の証拠 |
| 後日の大きな行事、大規模な記念碑、何日にもわたる親族への供応 | 葬儀費用として遺産に請求するのは通常は認められにくい。事前に相続人の承認を得る | 相続人の書面の合意 |
立て替えた人の判断基準は、故人や中立な相続人が見たとき、この地位の人に通常行われる慣習的な式の一部と考えられるかどうかです。迷う項目は、帳簿の別の欄に分けておき、請求額に含める前に相続人に尋ねてください。
5. 証拠をどう保管し、帳簿をどうつけるか
有効な証拠は、売主名の入った領収書や納税用の請求書、支払者の口座からの送金記録、行事や購入品の写真、支払った当日につけた帳簿、相続人が同意したことがわかる家族グループのメッセージ(スクリーンショットを保存)、各項目の支払者の記録です。領収書なしで現金を払った場合は、受取人に日付、署名、身分証番号(個人の場合)を記した受領メモを書いてもらいます。後から事実と異なる書類を作ってはいけません。請求全体の信用が失われるからです。
そのまま使える葬儀費用の帳簿の見本です。
葬儀費用帳簿 (故人の氏名) 死亡日 ........
記録者 ........ 相続人が喪主として委ねた者 ........
番号 | 日付 | 項目 | 金額 | 支払者 | 支払方法 | 領収書/証拠番号 | 承認者(氏名+連絡方法)
1 | .... | 寺院・会場の費用 | ..... | .... | 送金/現金 | ...... | ......
2 | .... | 棺 | ..... | .... | ...... | ...... | ......
受け取った金銭(区別して記載)
- 葬祭給付(制度名) ..... 金額 ..... 受取人 ......
- 香典の合計 ..... 記録した封筒の数 ......
支払合計 .... 合意により差し引く額 .... 遺産に請求する純額 ....
返還を提案する相続人への短いメッセージです。
兄弟姉妹の皆さんへ
父(氏名)の葬儀を執り行いました。領収書と送金記録を添えた葬儀費用の帳簿を送ります。
支払総額は ..... バーツです。皆で合意した給付・香典 ..... バーツを差し引き、遺産から返してほしい額は ..... バーツです。
皆さんの取り分を分ける前に、遺産から返済することを提案します。高すぎると思う項目があれば、
理由を添えて ........ までに書面で知らせてください。一緒に調整しましょう。
合意できたら、この書面の末尾に署名して受領を示してください。
(氏名) 日付 ........
6. 相続人が金額を争うときはどうするか
- 帳簿と証拠を送って確認してもらう。 透明性が争いを減らす最良の方法です。請求全体を拒否するのではなく、同意しない項目とその理由を挙げるよう求めます。
- 交渉し、書面で合意する。 第850条によれば、和解契約とは、当事者双方が互いに譲歩して紛争を終わらせる契約です。第851条は、責任を負う側の署名がある書面による証拠がなければ、訴えによる強制はできないとしています。第852条は契約の効果を定めており、和解で処理した請求権は消滅します。そこで、合意した金額、支払方法、残りの請求の放棄を書き、全員に署名してもらいます。
- 分配時に差し引く。 遺産管理者がいれば、分配前に管理者が返済するよう提案します(第1739条は葬儀費用を通常の債務と相続人の取り分より先に置いています)。差し引いた額を確認する書面ももらいます。まだ遺産管理者がいなければ、遺産管理者選任の申立てのガイドをご覧ください。
- 提訴する。 まとまらなければ、遺産または遺産管理者を相手に、相当な葬儀費用の支払いを求めて提訴します。裁判所は証拠と地位に照らした相当性を検討し、一部の項目を削ることがあります。結果は事実と裁判所の裁量によるため、金額をお約束することはできません。
自分で補償するために故人の口座から引き出したり、故人の財産を取り上げたりしないでください。権限なく故人の銀行口座や携帯電話にアクセスすることも避けてください。犯罪になりうるうえ、請求の信用を損ないます。
7. 急いで請求すべきか、新たな財産が見つかったり遺産に収入があったりしたら
第1754条は、死亡の時、または法定相続人が死亡を知りもしくは知るべきであった時から1年を過ぎると相続に関する訴えを提起できないとし、1年より長い時効期間を持つ権利を有する故人の債権者についても、債権者が死亡を知りもしくは知るべきであった時から1年を過ぎると提訴できないとしています。いずれの場合も、死亡から10年を過ぎると提訴できません。立て替えた各人の葬儀費用の請求にこれがどう当てはまるか、いつから進行するかは確認できないため、早く請求し、書面で合意するようお勧めします。遺産分割が終わるまで待たないでください。
後で遺産が追加で見つかったときは分配後に見つかった遺産のガイドを、分割前に賃料などの収入が生じたときは分割前の相続不動産の賃料収入のガイドをご覧ください。
チェックリスト
葬儀の前と最中
- 誰が喪主かを相続人と合意し、記録するか確認のメッセージを送る
- 故人が遺言で遺産管理者や葬儀の担当者を指定していないか確認する
- すべての項目の領収書をもらい、送金記録を保管する
- 行事と主な品物の写真を撮る
入ってくる金銭
- 社会保険、火葬互助会、勤務先、生命保険からの給付の権利を確認する
- 香典を別に記録し、先に差し引くことを合意する
葬儀の後
- 見本のとおり帳簿を作り、争われそうな項目に印をつける
- 帳簿を全相続人に送り、回答期限を伝える
- 書面で合意し、全員に署名してもらう
- 遺産管理者に分配前に支払ってもらう。合意できなければ弁護士に相談する
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- 分割前の相続不動産の賃料収入 — 分割を待つ間の賃料などの収入
相当な葬儀費用は、証拠が揃っていれば相続人の取り分より先に遺産から請求できます。ただし相当性は事実に即して判断されるため、初日から帳簿をつけ、相続人と書面で合意してください。
当事務所は、家族や相続人の葬儀費用の請求、帳簿の確認、相続人との合意書の作成をお手伝いしています。初回相談をご希望の方は、お電話 +66 92 254 2045 または詳細をお送りください。あわせて遺産業務もご覧ください。
本ガイドはスワンワラ法律事務所(コンケン県の法律事務所、1986年設立)が発行したものです。一般的な情報であり、特定の事項に関する法的助言ではありません。

