結論
配偶者の不貞を知ると、まず証拠集めを始めたくなります。しかし先に、この件で何を求めるのかを考えてください。目的ごとに根拠条文、立証すべき事実、訴える相手が異なるからです。本ガイドは、目的の整理、適法に得た証拠、期限に絞って説明します。夫婦財産の分け方や子どもについては、離婚と夫婦財産のガイドと扶養と親権のガイドをご覧ください。
法的根拠(民商法典) 第1516条(1)は、相手方配偶者が他の者を配偶者のように扶養し若しくは敬う、愛人がいる若しくは不貞をする、または他の者と常習的に性交渉をする場合に、離婚の訴えを認めています。現行の条文は、2025年1月に施行された婚姻平等の改正を受けて性別にかかわらない表現になっています。第1516条(2)の、相手方に重大な恥辱を与える不行跡も併せて主張されることがあります。第1523条は慰謝料請求権を与え、第1529条は1年の期限を定めています。
当事務所の実務上の見方 よくある誤りは二つあります。1年を過ぎてしまうことと、証拠集めの方法自体が違法になってしまうことです。良い証拠とは、適法に入手し、事実を知った日付を記録し、誰が何を見たかを説明できるものです。結果は事実関係と裁判所の裁量に左右され、当事務所は結果を保証しません。
仮の事例 コンケンに住むニパさんは、タナコーンさんと婚姻登録して9年、子どもが1人います。ある日、マリーさんが公開アカウントにタナコーンさんとの写真を「恋人です」という文面で投稿しました。ニパさんは日付入りでスクリーンショットを保存し、次にどうすべきか相談に来ました。この事例を全体で使います。
1. 目的にはどんな種類があり、誰が被告になるのか
| 目的 | 法的根拠 | 立証すべき事実 | 被告 |
|---|---|---|---|
| (a) 離婚 | 第1516条(1)(事実に当てはまれば(2)も)。第1529条の期間内に提訴 | 登録された婚姻があり、配偶者が他の者を配偶者のように扶養し若しくは敬い、愛人がおり、または他の者と常習的に性交渉をしていること。自分が同意も黙認もしていないこと(第1517条) | 配偶者 |
| (b) 配偶者への慰謝料 | 第1523条第1項 | 裁判所が第1516条(1)の事由で離婚を命じること | 配偶者(離婚訴訟に併合) |
| (c) 第三者への慰謝料 | 第1523条第1項および第2項 | 第1項:第1516条(1)の事由による離婚があり、その者が扶養され、敬われ、または離婚の原因となったこと。第2項:その者が配偶者に対し不貞関係に当たる形で踏み込んだこと、またはそのような関係があると公然と示したこと | 第三者 |
| (d) 離婚せず、第三者にのみ請求 | 第1523条第2項 | 第2項の第三者の行為。例えば不貞関係に当たる形で踏み込んだこと、または交際関係を公然と示したこと | 第三者 |
重要な注記:第1523条第2項の文言は、先に離婚判決が必要とは述べていません。そのため婚姻を続けたい配偶者が使い得る道です。ただし、勝てるとは言えません。裁判所は、行為が「不貞関係に当たる形で踏み込んだ」または「公然と示した」という文言に当たるかを見ますし、慰謝料の額は裁判所の裁量です。
事例では、ニパさんが婚姻の継続を望むなら(d)を追えます。離婚を決めた場合は、(a)(b)(c)を一つの訴訟でまとめて提起できます。
2. 婚姻は登録されている必要があるか
第1516条と第1523条は「配偶者」について定めているため、婚姻が登録されている必要があります。登録せずに同居している組み合わせには、これらの条文に基づく離婚の訴権も慰謝料請求権もありません。婚姻が有効に登録されたか分からない場合は、まず郡役所で婚姻証明書を取得してください。
第1516条(1)の事由は婚姻平等の改正後、性別にかかわらない表現になっており、登録された配偶者全員に同じく適用されます。
3. 安全な証拠と危険な証拠
原則は、自分の権利で適法に入手できるものを使うことです。この表は一般的な目安であり、裁判所がすべてを採用することを保証するものではありません。
| 証拠の種類 | リスク | すべきこと |
|---|---|---|
| SNSの公開投稿(誰でも閲覧できるもの) | 低い(保存するだけの場合) | URL、日時、アカウント名が分かるスクリーンショットを撮り、リンクも保管する |
| 公共の場で撮った写真 | 低〜中 | 出来事を示すのに必要な分だけ撮る。付きまとわない。投稿しない |
| 自分が直接受け取ったメッセージ(例:第三者から届いたもの) | 低い | 日時情報のついた会話全体を、編集せずに保管する |
| 自分の目で見た証人 | 低い | 氏名、見た日、見た内容を、本人の言葉で記録する |
| ホテルや宿泊の書類 | 自分で取りに行ったり買ったりしない | 提訴後に裁判所が書類提出を命じられるか弁護士に確認する |
| 私立探偵の報告書 | 中〜高(手法による) | 手法を事前に確認する。私的な場所への立入りやハッキングをしない。探偵が証言できること |
してはいけないこと:
- パスワードを知っていても、配偶者のスマホ、LINE、Facebook、メールに許可なくログインする
- 相手の端末に追跡アプリやメッセージ傍受アプリを入れる
- 寝室(自分のものでない場合)や借りた部屋など、プライバシーがあるべき場所に隠しカメラや録音機を置く
- 他人宛ての郵便物や荷物を開封する
- 配偶者や第三者への非難を公開の場に投稿する
4. 違法な収集がなぜ自分に跳ね返るのか
- コンピュータ犯罪法(仏暦2550年)第5条から第7条 第5条は、特定のアクセス制限があるコンピュータシステムへの不正アクセスです。第6条は、パスワードなどの制限手段を不正に開示し、損害が生じるおそれがある場合です。第7条は、特定のアクセス制限があるコンピュータデータへの不正アクセスです。いずれも懲役または罰金、あるいはその併科で、程度は異なります。
- 個人情報保護法(仏暦2562年) 純粋に個人または家族の目的での収集・利用には適用除外がありますが、他人のデータを拡散し、または転送すると、この除外を超えるおそれがあります。誰かに共有する前に相談してください。
- 刑法第326条および第328条 第三者に対し、他人の名誉を害するおそれのある事実を示すことは名誉毀損にあたり、文書やオンライン投稿による公表は第328条でより重く処罰されます。真実だと信じていても、第329条と第330条の抗弁を検討する必要があります。オンライン名誉毀損のガイドをご覧ください。
民事事件では、不適法に得た証拠の取扱いに関する規律は単純ではなく、裁判所が常に採用する、あるいは採用しないとは言えません。言えるのは、自分が刑事責任を問われ得ること、相手方が信用性攻撃に使うこと、本題以外に時間を取られ得ることです。財産や資金の流れを調べる場合も同じ考え方です。離婚前の資金の流れを適法に確認する方法をご覧ください。
5. 使える形で証拠を保全するには
入手元や日付が分からない証拠は使いにくくなります。いつ、どこから入手し、誰が見たかを書き留め、原本をまとめて保管してください。ファイルは編集しないでください。
証拠記録(1件につき1行)
番号: 001
この件を最初に知った日: ___/___/___ (1年の期限に関わる)
出来事・投稿の日時: ___________
種類: 公開投稿 / 写真 / 受信したメッセージ / 証人 / 書類
入手元(URLまたは場所): ______________________
見た人・記録した人と、その時期: ______________________
原本の保管場所: ______________________
関係する目的: 離婚 / 配偶者への慰謝料 / 第三者への慰謝料
備考(例:アカウントが削除されるおそれ、書類提出の申立てが必要): ______________________
6. 確認すべき期限
第1529条は、第1516条(1)(2)(3)または(6)の事由に基づく訴権と、第1523条に基づく慰謝料請求権は、主張者が援用できる事実を知った日または知るべきであった日から1年を過ぎると消滅すると定めています。したがって起算日は、行為があった日とは限りませんが、推測で決めないでください。知った日を記録し、1年が終わる前に弁護士が確認できる余裕を持たせてください。
知りながら同居を続けた場合の注意:第1517条は、その行為に同意し、または黙認した配偶者が第1516条(1)(2)の事由を主張することを禁じ、第1523条第3項はその場合の慰謝料請求を禁じています。知った後の和解や同居の継続は、決める前に相談してください。
事例では、ニパさんは10月3日に投稿を見ました。この日付を記録し、数週間以内に弁護士の予約を取るべきで、1年の終わりが近づくまで待つべきではありません。
7. あわせて考えるべきこと
- 財産と子どもは不貞とは別の問題です。離婚と夫婦財産のガイドと扶養と親権のガイドをご覧ください。既存の婚前契約については、婚前契約で何を取り決めるかをご覧ください。
- 暴力がある場合は、証拠より安全が先です。その場を離れて安全な場所に移り、警察に届け出るか191番に電話し、傷の写真や診断書を保管してください。第1516条(3)は、重大な身体的・精神的虐待も対象としています。
- 協議離婚 双方が合意できれば、第1514条および第1515条に基づいて離婚を登録できます。書面、証人2人以上、登録が必要です。財産、子ども、慰謝料に関する条件は書面の合意に入れてください。第1523条の慰謝料は離婚判決と結びついているため、協議離婚では最初からこの点を書面で決めておくべきです。
8. 弁護士に会う前のチェックリスト
書類と本人確認
- 婚姻証明書または婚姻登録の証明書の写し
- ご自身と配偶者のIDカードと住民登録の写し
- 第三者の氏名と住所(適法に知り得る範囲で)
適法に得た証拠
- URL、日付、時刻の入った公開投稿のスクリーンショット
- 自分が直接受け取ったメッセージ
- 自分の目で見た証人のリスト
- 第5項の形式による証拠記録
期限と現況
- 最初に知った日と、そこから1年の計算
- 知った後に起きたこと(例:同居を続けたか)
- 当面の判断:離婚か、第三者への請求のみか
してはいけないこと
- 配偶者のアカウントや端末にログインしない。追跡アプリを入れない。非難を投稿しない
関連ガイド
- 離婚・夫婦財産・子の親権 — 離婚事件の全体像
- 離婚前に配偶者が資金移動・財産移転をしている疑いがあるとき — 財産情報を適法に探す方法
- タイにおけるオンライン名誉毀損 — 被害者が被疑者になる境界
- 扶養と親権 — 子どもに関する部分
- 婚前契約で何を取り決めるか — 財産の分け方を変える取り決め
- 離婚後の配偶者扶養と養育費の違い — 離婚後の扶養
目的から始め、適法に得た証拠だけを残し、知った日付を記録し、1年を過ぎないようにしてください。
当事務所は、事件の目的の整理、お手元の証拠の確認、離婚または慰謝料請求の手続きをお手伝いしています。初回相談をご希望の方は、お電話 +66 92 254 2045 または詳細をお送りください。あわせて家族法業務もご覧ください。
本ガイドはスワンワラ法律事務所(コンケン県の法律事務所、1986年設立)が発行したものです。一般的な情報であり、特定の事項に関する法的助言ではありません。

