朝、人事担当者がメールを開くと、数十人分の従業員の署名が付いた書面が届いています。交代勤務手当の引き上げ、賞与の最低保証、福利厚生の拡充を求める内容です。すぐに全体集会を開く会社もあれば、オーナーが海外から戻るまで待つ会社もあります。しかし法律は、書面を受け取った日から数え始め、交渉開始までに認められる期間はわずか3日です。本ガイドは、工場や大規模事業者のオーナー、人事部長、カントリーマネージャーに向けて、交渉の前と最中に何を準備すべきかを説明します。
当事務所が既に扱っている内容は繰り返しません。会社自身が賃金や手当を引き下げたい場合は賃金・就業日数・手当の引き下げを検討する会社を、要求が届く前の点検については会社の労働法ヘルスチェックを、工場が直面する法規制全般については工場・工業団地の法律ガイドをご覧ください。本ガイドの焦点は、要求書が届いた後の手順、権限、書類、提案、社内連絡です。
結論
要求書が届いたら、次の4点をこの順で行います。形式が正しいか確認する。代表者を指名し、その権限を書面で確認する。3日以内に交渉を始める。要求した側への報復と受け取られる行為を避ける。数字と提案の準備は、その後の2回目以降のために進めます。
法的根拠。 労働関係法 B.E. 2518 第5条は、「労働条件」を就業日・就業時間、賃金、福利厚生、終了などの就労・雇用の条件と定め、「労働条件協定」をこれらについての使用者と従業員の合意と定めます。第13条は要求を書面ですることを求め、従業員が行う場合は関係従業員の15パーセント以上の氏名と署名が必要で、各側の交渉代表者は7名以内とします。第16条は3日以内の交渉開始を求めます。期間内に交渉しない、または合意に至らない場合、第21条により労働紛争が生じたものとみなされ、要求した側は24時間以内に労働紛争調停官に通知しなければなりません。第22条は調停官に5日の調停期間を与えます。第31条は手続の間、関係者の解雇と職務異動から保護し、第121条は法の認める要求・交渉・申立てを理由とする従業員への不当労働行為を禁じます。
当事務所の実務上の見方。 交渉がうまくいかない会社は、資金が足りないからではなく、誰が決められるのか分からず、要求ごとの費用の数字がなく、現場の管理職の一言が脅しと受け取られることで失敗します。当事務所の役割は、労働法コンプライアンス業務と継続的な人事助言の一環として、交渉の前と最中に、法的手続、書類、代表者の権限、提案、協定案を確認することです。交渉の席で会社を代理することはしません。
仮定の事例。 コンケンの包装工場に従業員320名、うち生産部門が140名います。シフトリーダーのプラシットさんが生産部門の30名とともに、夜勤手当の引き上げ、賞与の最低保証、通勤手当を求める書面を提出しました。工場長のウィモンさんは月曜日にこれを受け取り、人事に「いつまでに返答が必要か」と尋ねます。答えは木曜日までです。以下、この例で説明します。
1. 要求は適正な形式でなされているか
争う前に、初日に次の3点を確認します。
- 書面か。 第13条は書面による要求を求めます。チャットメッセージや口頭の申入れは第13条の要求ではありません。
- 労働条件に関するものか。 第5条の定める事項、たとえば賃金、シフト手当、賞与、福利厚生、労働時間などです。たとえば管理職の交代要求は、この手続で交渉義務が生じる事項ではありません。
- 署名は足りているか。 従業員が提出する場合、関係する従業員全体の15パーセント以上の氏名と署名が必要です。
この例では、夜勤手当の要求に関係する従業員は夜勤の生産要員だけかもしれず、320名全員とは限りません。人事は関係者を正しく数える必要があります。仮に140名であれば15パーセントは21名で、30名の署名で足ります。ただし名簿に従業員でない者や重複があれば、除外して数え直してください。
書面に不備があっても、無視してよいことにはなりません。速やかに書面で返答し、不備を指摘したうえで会議の日時を提示し、第16条に基づく交渉を拒んだと見られないようにします。署名者名簿を不利益な取扱いの対象を選ぶための名簿として使ってはいけません。第31条と第121条の問題になり、これは項目6で説明します。
2. 3日の期限と手続の順序
| 段階 | 条 | 会社が行うこと |
|---|---|---|
| 従業員が書面で要求 | 13 | 受領日を記録し、形式と署名を確認 |
| 代表者を書面で通知し、交渉開始 | 16 | 速やかに代表者を指名、受領日から3日以内に開始 |
| 期間内に交渉なし、または合意なし | 21 | 労働紛争とみなされ、要求側が24時間以内に調停官へ通知 |
| 調停 | 22 | 調停官が5日以内に調停、合意すれば第18条の手続へ |
| 合意に至らず | 22 | 仲裁人、または第34条の条件によるロックアウト・ストライキ |
| 協定の締結 | 18 | 書面、双方署名、30日掲示、15日以内に登録 |
第34条は、いくつかの場面でロックアウトとストライキを禁じます。たとえば、要求がなされる前、第22条の合意不成立の段階に至る前、仲裁人が審理している間などです。いずれの場合も、ロックアウトまたはストライキをする側は、少なくとも24時間前に調停官と相手方へ書面で通知しなければなりません。ロックアウトを検討する会社は、賃金と第121条に影響するため、その都度助言を受けてください。
この例では、ウィモンさんが月曜日に書面を受け取りました。人事は同日中に会社側の代表者を指名して返信し、水曜日を提案したので、3日が経過する前に交渉が始まりました。
3. 会社を代表して署名できるのは誰か、権限をどう書面にするか
よくある問題は、交渉担当者が席上で、会社が承認していない、あるいは取締役の承認範囲を超える事項に「同意」してしまうことです。下の表は、誰がどの権限を持つのが適切かを示します。会社の登記事項証明書と定款に合わせて調整してください。
| 役割 | 適した任務 | 書面で持つべき権限 |
|---|---|---|
| 取締役会 | 予算の枠と許容条件を決め、最終協定を承認 | 定款と登記事項証明書に整合する取締役会決議 |
| 代表取締役 | 取締役の権限の範囲で会社を代表して署名、首席交渉者を任命 | 署名権限のある取締役を記載した登記事項証明書 |
| 人事部長 | 首席交渉者・代弁者、枠の範囲内で提案と回答 | 事項、範囲、上限を明記した委任状 |
| 工場長 | 現場の事実の提供、代表者として同席、数字には同意しない | 代表者としての任命書、協定への署名権限はなし |
リスクは2つあります。1つ目は、担当者が会社の承認できない事項に同意することです。会社がその者を権限ある者として振る舞わせれば、相手は民商法典第821条の表見代理を主張でき、会社が速やかに否認しなければ第823条により追認したとされ得ます。2つ目は、担当者が慎重になりすぎて、何でも「確認して持ち帰ります」となることです。話が進まず、相手は会社に誠意がないと判断します。
対策は、初日の前に枠を書面で定めておくことです。代表者が単独で受け入れてよい事項、承認のために戻すべき事項、言ってはならない事項を明記します。決議文の例を以下に示します。事実に合わせて調整してください。
____株式会社 取締役会決議 第___回 ____年__月__日
議題:労働条件に関する要求への交渉代表者の任命
取締役会は次のとおり決議した。
1. 会社側の交渉代表者を別紙のとおり任命する(7名以内)。人事部長 ____ を
チームリーダー兼唯一の代弁者とする。
2. 代表者に対し、____ に関する提案と受諾を、別紙1(機密)の枠と上限の
範囲内でのみ行う権限を与える。
3. 枠を超える提案、または ____ に関する提案は、事前に取締役会の承認を得る
こと。代表者は会議の席上でこれらを受諾する権限を有しない。
4. 協定は、取締役会が最終案を承認した後、署名権限のある取締役 ____ が
署名する。
5. 本決議は ____ から有効とし、書面で取り消すまで効力を有する。
相手が権限の証明を求め、委任状を使う場合は、受任者、範囲、期間を特定し、印紙税は会計士に確認してください。
4. 最初の会議の前に準備する書類
書類が整っていれば、代表者はその場で答えられます。最低限の一式は次のとおりです。
- 現行の就業規則。 労働保護法 B.E. 2541 第108条により、使用者が10名以上の場合に必要で、周知した証拠も添えます。
- 既存の労働条件協定。 あれば、登録の証拠と終了日。
- 要求ごとの人件費モデル。 1人あたりの月額・年額、対象人数、残業代、社会保険料、賃金に連動するもの(賃金連動の賞与など)への影響。
- 会社の財務状況。 損益、キャッシュフロー、受注残、価格調整条項のある契約。
- 同業他社との比較。 同業種・同地域の比較可能な工場の賃金と福利厚生で、適法に入手したもの。
- 関係従業員の一覧。 署名者、代表者、第31条で保護され得る者について、現在の状況、警告・懲戒歴。この期間中に会社が触れてはならない者を事前に把握するためです。
- 交渉記録。 毎回、下の様式を使います。
労働条件に関する要求の交渉記録 第___回
日時 ____ 場所 ____
会社側代表者:____(チームリーダー ____)
従業員側代表者:____(チームリーダー ____)
協議した要求項目:____ に関する項目 ___
従業員側の提案:____
会社の提案・回答:____
合意した点:____
未了の点と、どちらが回答するか:____ を ____ までに
次回:____
会社側署名 ________ 従業員側署名 ________
5. 提案:法が定めるものと交渉できるもの
まず、すべての要求を2つに仕分けます。1つ目は法が既に定めており、交渉材料にならないもの、たとえば労働保護法 B.E. 2541 の残業代、休日労働の賃金、休暇の権利です。要求が法の求める内容を求めているだけなら、会社が既に提供すべきものだと明言し、実際に提供しているかを確認します。2つ目は法を超える部分、たとえばシフト手当、賞与、各種補助で、これは交渉できます。
| 種類 | 例 | 対応 |
|---|---|---|
| 法が既に求めるもの | 残業代、休日、休暇、賃金の期日払い | 遵守を確認し、疑わしければ遡って点検、法を下回る提案は決してしない |
| 法を超え、交渉可能 | 夜勤手当、賞与の最低保証、通勤手当 | 費用を算定し、選択肢を示し、段階的に、条件付きで |
| 経営事項 | 昇進、シフト編成、安全 | 労働条件に関するか切り分け、関するなら交渉、関しないなら理由を説明 |
よい提案には4つの要素があります。明確な金額または権利、開始と終了の時期、権利に結びつく条件(出勤や生産量など)、段階的な調整です。「後で検討する」という提案はしないでください。解釈をめぐる新たな紛争を生むだけです。この例では、会社は夜勤手当の引き上げを一括ではなく12か月で2段階に分け、賞与の最低保証は成績が合意した目標に達した年に限って提示します。
厳守すべき点が1つあります。法に反する約束はしないことです。たとえば最低賃金を下回る支払いに合意することや、従業員に残業代を放棄させることです。そのような条項は会社を守らず、新たな苦情を生むだけです。会社の提案が既存の権利を減らす場合は、賃金・手当の引き下げの考え方を参照してください。
6. 交渉中の社内外への連絡
- 代弁者は1人。 人事部長、または会社が任命した者が従業員代表と話し、全従業員向けの連絡を出します。他の誰も会社を代表して答えません。
- 双方署名の議事録。 毎回、双方が署名または少なくとも受領を確認した要約を作ります。項目4の様式を使ってください。
- 報復をしない。 要求を理由に、提出者、その代表者、参加者を解雇したり、時間を減らしたり、シフトや職務を変更したりしてはいけません。第31条は、要求が未解決の間、関係者の解雇と職務異動を禁じています。例外は4つの事由のみです。職務上の不誠実または使用者に対する故意の犯罪行為、使用者への故意の損害、書面警告後の適法な規則または命令違反(重大な場合は警告不要)、正当な理由のない連続3労働日の欠勤です。その規則は要求の妨害を目的に定められたものであってはなりません。第121条も、法の認める要求・交渉・申立てを理由とする解雇や圧力を禁じています。
- 代表者を飛び越えない。 個々の従業員に提案を送ったり、チャットグループに投稿して署名の撤回を促したり、代表者と別に提案への署名を集めたりしないでください。交渉を回避する行為と読まれ得ます。代表者を通じて伝え、全員に知らせる必要がある場合は、手続の事実と、既に代表者に示した提案だけを伝えます。
- 脅さない。 工場の閉鎖、生産ラインの移転、契約の不更新などの発言は、聞く側が報復と受け取れば証拠になり得ます。経営陣が本当に言う必要があるなら、事前に法的な確認を経てください。
- 提出者の個人データを公開しない。 従業員のデータの収集・利用は個人情報保護法 B.E. 2562 に従う必要があり、提出者の氏名を他者の見える場所に掲示するとリスクが生じます。
生産ラインの管理職向けの連絡文例(会社に合わせて調整してください):
件名:従業員の要求に関する会社の交渉中の、ライン管理職の対応について
1. 会社は法の定めるとおり、従業員代表と交渉しています。会社を代表して
話すのは ____ のみです。
2. 誰が署名したかを尋ねないこと。署名の撤回を求めないこと。地位や契約への
影響について話さないこと。
3. 関係する従業員のシフト、職務、時間を変更する前に、必ず ____ に相談
すること。
4. 部下から要求について聞かれたら、「会社は正式な手続で交渉しており、
代表者が経過を報告します」と答え、____ に取り次ぐこと。
5. 規律違反を見つけたら、事実を記録し、警告や処分の前に ____ に連絡
すること。
この期間中に従業員が会社を批判する投稿をした場合は、従業員が会社をSNSで批判したときをご覧ください。
7. 合意後:登録と効力
第18条により、合意は双方が署名した書面でなければなりません。使用者は従業員の就業場所に少なくとも30日間(3日以内に開始)掲示し、15日以内に労働保護福祉局長またはその委任を受けた者に登録します。署名日から日数を数える担当者を、あらかじめ決めておいてください。
協定には2つの効力があります。第1に、第20条により、協定に反する雇用契約は、従業員にとってより有利でない限り認められず、協定より低い個別契約は執行できません。第2に、第10条により、従業員20名以上の事業所は書面の労働条件協定を持たなければならず、第11条により協定がない場合は就業規則が協定とみなされます。新しい協定ができたら、就業規則との整合を確認し、労働保護法 B.E. 2541 第108条の手続で改正または再周知して、2つの文書が衝突しないようにします。
協定が事業所の移転に関わる場合は工場・事務所の移転を、交渉が決裂して訴訟になった場合は労働裁判所で訴えられた使用者を参照してください。人員削減を計画しているために交渉する会社は、組織再編と人員整理の計画も併せてお読みください。
8. 要求書を受け取ったときのチェックリスト
初日
- 受領日時を記録し、署名名簿とともに原本を保管する
- 書面であること、労働条件に関すること、関係従業員の15パーセント以上の署名があることを確認する
- 代表者を指名し、3日以内に初回会議を設定する書面で返答する
- 役員と現場管理職に、提出者や代表者へ報復しないよう伝える
権限とチーム
- 取締役会が7名以内の代表者を決議し、枠と上限を定める
- 代弁者を1人に決める
- 承認のために戻すべき事項を書面で定める
- 登記事項証明書を確認し、署名取締役が協定に署名する者と一致するようにする
書類と数字
- 就業規則と既存の協定
- 各要求の費用(月額・年額)
- 財務状況、キャッシュフロー、比較資料
- 第31条で保護され得る者の一覧と各人の懲戒歴
- 交渉記録の様式
提案と連絡
- 法が求めるものと交渉可能なものを分ける
- 法に反しない、段階的で条件付きの提案を用意する
- 用意した文面でライン管理職に説明する
- 代表者を飛び越えて個々の従業員に提案を送らない
合意後
- 書面で署名し、30日掲示し、15日以内に登録する
- 就業規則を見直して整合させる
- 給与計算を協定に合わせて調整する
関連ガイド
- 賃金・就業日数・手当の引き下げを検討する会社 — 会社自身の提案が既存の権利を減らす場合
- 会社の労働法ヘルスチェック — 要求が届く前に書類と運用を点検
- 工場・工業団地の法律ガイド — 工場に関わる法規制の全体像
- 工場・事務所の移転 — 移転が要求の発端となる場合
- 労働裁判所で訴えられた使用者 — 交渉が決裂し訴訟になった場合
- 組織再編と人員整理の計画 — 人員削減を同時に計画している場合
- 従業員が会社をSNSで批判したとき — 交渉中のオンライン投稿への対応
誰に権限があり、数字がどうなっており、提案が法に反しないかを会社が把握していれば、要求書は危機ではありません。期限内に交渉し、議事録を残し、関係者への報復を避けてください。
当事務所は、労働法コンプライアンス業務と継続的な人事助言の一環として、交渉の前と最中に、法的手続、書類、代表者の権限、提案、協定案の確認をお手伝いします。初回相談をご希望の方は、+66 92 254 2045 までお電話いただくか、詳細をお送りください。あわせて労働法コンプライアンスの点検もご覧ください。
本ガイドはスワンワラ法律事務所(コンケン県の法律事務所、1986年設立)が発行したものです。一般的な情報であり、特定の事項に関する法的助言ではありません。

