結論
婚姻登録をせずに同居しているカップルには、家族法に基づいて半分ずつ分ける「夫婦財産」がありません。財産は一つずつ、財産法の観点から、誰の所有か、共有であれば各自の持分はどれだけか、を検討することになります。最高裁判所は、夫婦として暮らしている間に共同で稼いで得た財産は夫婦財産ではなく共有財産であるとしており(判決4656/2567)、民商法典1357条は共有者の持分が等しいと推定しています。
この推定は出発点にすぎません。一方が明らかに多く支払っていれば、他方に対して持分が等しくないことを立証できます。名義が一人だけの財産では、名義のない側が、実際に資金や労務を出したことを立証しなければなりません。したがって結果は、同居した年数よりも、支払いの証拠と取決めで決まります。
財産の種類によって論点が異なります。銀行ローンが残る住宅では、名義人、借入人、実際の支払者を分けて考えます。土地は登記が出発点です。預金は資金の出所で判断します。株式と事業は、株主名簿、登録書類、実際の合意で判断します。
1. 婚姻登録をしていない場合、法律は財産をどう扱うか
夫婦財産は、有効に登録した夫婦の制度です。判決4656/2567は、婚姻登録をせず夫婦として暮らす合意をしても、夫婦財産としての財産上の権利義務は生じず、また利益の分配を目的に共同で事業を行う合意ではないので、1012条のいう組合(パートナーシップ)にも当たらないとしました。一方、同居中に共同で稼いで得た財産は共有であり、1357条によって規律されるとしています。
実務上は次の三点になります。
- 自動的に半分ずつになる規則はありません。持分を求める側が、共有であることと持分の割合を立証します。
- 交際前に取得した財産、贈与された財産、相続した財産は「共同で稼いだ」ものではなく、通常は元の所有者のものです。
- 家事、料理、育児は直接の金銭負担ではありません。裁判所は事案ごとの事実で評価するため、実際に支払った現金と同じ価値に評価されるとは限りません。
婚姻登録済みの夫婦、またはこれから登録する場合は、離婚と財産のガイドをお読みください。本ガイドは登録していないカップルを対象にしています。
2. 持分は等しいという推定と、それを覆す証拠
1357条は、共有者の持分は等しいと推定すると定めています。「推定」とは、持分が等しくないと主張する側が立証できる、という意味です。
| 状況 | 見込み |
|---|---|
| 双方が同程度に頭金と返済を負担し、共同名義 | 持分は等しい可能性が高い |
| 一方が頭金とほぼ全ての返済を負担し、明細も揃っている | 大きい持分を立証できる見込みがある |
| 一方が全額を負担し、他方は家事のみだと主張 | 負担していない側の立証責任が重く、結果は不確実 |
| 交際前の資金や個人への贈与で購入 | 共同で稼いだものとは認められにくい |
1356条は、財産が複数人の共有であれば共有の章を適用すると定めており、持分の確定と分割請求(第8章)の根拠になります。結論は個々の事案の証拠によって決まります。
3. ローンが残る住宅やコンドミニアム:名義人、借入人、支払者は同一人とは限らない
三つの役割を分けて考えます。
| 役割 | 意味 | 効果 |
|---|---|---|
| 権利証・区分所有権証の名義人 | 登記上の所有者(最初の目安) | 譲渡、売却、抵当権設定ができる。銀行と土地局は登記を信頼する |
| 借入人(共同借入人) | 借入契約上の債務者 | 誰が返済額を振り込んだかにかかわらず、銀行に対して全額の責任を負う |
| 実際の支払者 | 頭金と返済を負担した人 | 二人の間で自分の持分を示す証拠。銀行は拘束されない |
銀行が知っているのは借入人だけです。 元パートナーと「誰が住み続け、誰が払うか」を取り決めても、銀行は拘束されません。借入人が返済を止めれば、銀行は借入契約に基づいて借入人に請求し、抵当権を実行します。二人の間の合意があっても同じです。
1373条は、土地登記簿に名前のある者に占有権があると推定します。名義のない側は共有であることを立証しなければなりません。たとえば、頭金や返済の振込記録、共同で購入することを確認するメッセージ、双方の名前が入った売買契約書などです。
仮定の例
AとBは婚姻登録をせずに5年同居し、3,000,000バーツの住宅を買いました。Aが借入人で登記名義人です。Bは頭金500,000バーツと、4年間毎月8,000バーツを振り込み、毎月の明細が残っています。別れるとき、Aは家は自分だけのものだと主張しています。
書類があるため、Bは支払った割合に応じた共有を主張できる可能性があります。持分が等しいか、支払割合になるかは、証拠全体で判断されます。(数字はすべて仮定の例であり、あなたの場合の計算ではありません。)
ローンが残る住宅の解決方法
- 持分の買取り: 住み続ける人が相手の持分を支払い、借換えまたは名義変更で、住み続ける人を唯一の借入人にします。
- 債務を完済して売却、分配: 相手の持分を買える人がいない場合に適します。売却代金でまず銀行債務を返済し、残りを合意または立証された持分で分けます。
- 借換え: 住み続ける人の名義で別の銀行に借り換え、元の借入人を債務から外します。新しい銀行は申込者自身の収入を審査します。
名義と借入人を変えないまま、「あなたが払い続けるから家はあなたのもの」と口約束で済ませないでください。借入人のままの人は銀行への責任が残ります。ローン付き住宅の離婚ガイドは債務処理の考え方の参考になりますが、法的根拠は異なります。
4. 土地:原則は同じだが、登記の比重が大きい
権利証のある土地では、土地登記簿の名義が、1373条により、その者に占有権があるという最初の推定を与えます。名義のない側は、購入代金を共同で負担したことを立証します。たとえば、売主への送金、代金支払いのための相手への送金、双方の名前が入った売買契約書などです。
土地に特有の注意点は次のとおりです。
- 土地の譲渡は土地局で登記しなければなりません。口頭やチャットで「あげる」と言っても名義は変わりません。
- 1361条により、共有者は自分の持分を処分または抵当に入れられますが、財産全体の売却、質入れ、抵当権設定には共有者全員の同意が必要です。権利証が二人の名義なら、一人で全体を売れません。一人の名義の場合、登記を信頼した善意の買主が保護されるおそれがあるため、早めに対策を取ってください。
- 争っている間に相手が売却や抵当権設定をする恐れがあるときは、提訴前または提訴と同時に仮の保全措置について弁護士に相談してください。
- タイ国籍でない人には、タイでの土地所有に制限があります。自分の名前を権利証に載せられる、またはタイ人と同じように請求が執行できる、と自己判断しないでください。個別に確認が必要です。下記の外国人の不動産ガイドを参照してください。
5. 銀行預金と共同口座
預金は、すぐに動かせるため、最初に争いになりやすい財産です。
- 共同口座: 共同名義だからといって常に持分が等しいわけではありません。誰が入金したか、資金がどこから来たかを見ます。ただし、双方が共通の生活費の財布として使っていたなら、共同の資金だという方向に傾きます。
- 単独名義の口座: 名義人は銀行の規約に従って引き出せます。保管のために入金または送金した側は、送金記録と、共同の資金または預けた金だという合意を示す必要があります。
- 同居中の相互の送金: それぞれが贈与、貸付、共同出資のどれかを整理します。チャットの内容や明細に書いた目的が解釈に影響します。
- 相談せずに口座を空にしない: 別れる前に全額を引き出すと、相手に財産を隠す意図の証拠を与え、紛争の原因になります。まず取引履歴を印刷してください。証拠の残し方は、離婚前に配偶者が資金を移す場合のガイドを参照してください。
6. 株式、組合、未登録の店舗、車両、共同で負った債務
株式会社の株式
会社と第三者に対しては、株主名簿に記載された者が所有者として現れます。1129条は、記名株式の譲渡は、譲受人の氏名と住所を株主名簿に記載するまで、会社や第三者に対抗できないと定めており、また、この種の譲渡は、書面で作成し、譲渡人と譲受人が署名し、少なくとも1人の証人が署名して証明しなければ無効としています。
名簿上は相手の名前だけでも、あなたが資金を出したのであれば、主張できるのは、相手があなたのために株式を保有している、またはあなたが出資分に応じた共有者である、という点に限られ、これも立証が必要です。
- 株式購入のため、会社または株主の口座に送金した記録
- 保有委託または共同出資を確認する合意書やチャット
- 実際の出資者がわかる株主間契約、議事録、財務諸表
これはあなたと名簿上の株主の間の請求であり、会社が自発的に名簿を訂正するわけではありません。他の株主がいる会社や、譲渡制限のある定款の場合は、交渉前に確認してください。事業からの株式の切り分けは、離婚時の会社株式のガイドを参照してください。
登記された合名会社など(組合)
誰が組合員かは、契約と登記簿で決まり、同居したかどうかでは決まりません。組合からの脱退は契約と組合法に従います。まず設立契約と登記を確認してください。
未登録の店舗や事業
契約も法人もなく共同で店を営んだ場合、裁判所は、誰が出資し、誰が運営し、誰が利益を受け取り、事業の資産が誰の資金で買われたかを見ます。判決4656/2567は、夫婦として同居すること自体は組合ではないとしています。ただし、利益の分配を目的に共同で事業を営む合意があり、1012条に当たる場合には、個人的な関係とは別に事業上の関係が成立し得ます。組合を主張するには、利益分配の合意と共同出資の証拠が必要です。
車両などの登録資産
車は占有者の名前で登録されますが、登録名義が当事者間の所有を自動的に決めるわけではありません。頭金と分割払いの支払証拠を、住宅と同じように使います。ファイナンスの残る車では、契約者または借入人が金融機関に責任を負い続けます。
共同で負った債務
債務は契約に従います。借入や保証に署名した人が債権者に責任を負います。相手もそのお金を使ったという事情は二人の間の問題で、債務を分担するというメッセージなどの証拠があれば、求償の主張で使えます。「パートナーも払うべきだ」というだけでは、債権者は当然には拘束されません。
7. 保管すべき証拠
- 振込明細と取引履歴(頭金、返済、改装、株式購入)。銀行アプリの原本で保管
- 借入契約書、売買契約書、ローンの残高明細、借入人と保証人がわかる銀行書類
- 権利証、区分所有権証、株主名簿、会社の登記事項証明書、車両登録
- 建築、修理、共益費、店舗の備品の領収書
- LINEなどで、共同購入、株式、保有委託について話したメッセージ(日付つきで会話全体を保管し、一部の抜粋にしない)
- 事実を知る証人(売主、仲介者、店の従業員、合意を見ていた友人など)
- 同居期間と各財産の購入時期を示す写真や記録
証拠を使う前に助言を受けてください。不適切な方法で入手した証拠は価値を失うおそれがあります。相手の口座や機器に許可なく入らないでください。
8. 合意で分けるか、裁判所に分けてもらうか
合意による分割
書面にします。財産を一つずつ挙げ、各自の持分、移転の方法、期限、銀行債務を誰が引き受けるか、どのように債務から外すかを記載し、全員が署名します。不動産の移転は土地局で登記が必要で、移転費用と税金も合意の中で割り振ってください。
裁判による分割
1363条は、共有者に分割請求権を認めています。ただし、法律行為による制限がある場合や、共有の目的物が恒久的な性質のものである場合は、分割を請求できません。分割請求権は、法律行為で一度に10年を超えて排除することはできず、また、不適切な時期に分割を請求することもできません。
1364条は分割の方法を定めています。
| 方法 | 適する場合 |
|---|---|
| 財産そのものを分ける(土地の分筆) | 価値を損なわずに分けられる |
| 売却して代金を分ける | 共有者が売却に合意している |
| 裁判所が分割を命じ、持分が不均等なら金銭で調整 | 共有者の一人が請求し、分け方に合意できない |
| 共有者間の競り、または競売 | 分割が不可能、または大きな損害が出る |
住宅一戸は現物で分けにくいため、売却、買取り、当事者間の競りで決着することが多いです。抵当権付きの住宅では、判決の内容にかかわらず、抵当権者は抵当契約に基づく権利を保持します。
9. 時間と注意すべきリスク
- 消滅時効: 請求の種類(貸付金の返還、理由なく行った移転の返還請求、出資金の回収など)ごとに期間が異なります。期間は各請求の法的根拠によって決まるため、本ガイドでは数字を示しません。待たずに早めに助言を受け、使う予定の請求の期限を確認してください。
- 紛争中に相手が売却や移転をする: 単独名義の資産が最も危険です。権利証や登記を定期的に確認してください。
- 証拠の消失: チャットの削除、銀行アプリの明細の保存期限切れ。すぐにバックアップしてください。
- 借入人の不払い: 借入人でないなら、返済を手伝っても債務者にはなりませんが、共同借入人や保証人は銀行に責任を負います。
10. よくある間違い
- 長く同居すれば夫婦財産のように半分もらえると考える
- 住宅ローンを現金や第三者の口座で支払い、目的を記した明細がない
- 権利証もローンも相手名義のまま、自分の持分を確認する書面がない
- 住宅について口約束だけで、借入人を変えないため、銀行への責任が残る
- 相手名義で株式を買い、保有委託を示す書類がない
- 別れる前に資金を引き出す、資産を移す。相手に非難の材料を与え、証拠も損なう
- 感情的にチャットを削除する、または会話の一部だけ保管する
- 待ちすぎて証拠が消え、請求が時効にかかるおそれがある
11. 合意または提訴の前のチェックリスト
- 財産と債務を全て一覧にし、住宅、土地、預金、株式、事業、車両を分ける
- 各項目について、名義、借入人、実際の支払者を特定する
- 交際前の財産や個人への贈与を、共同で稼いだ財産から分ける
- 振込明細、取引履歴、借入契約書、領収書、関連するチャットを集める
- 現在の権利証または株主名簿を確認する
- 誰かが返済を続ける前に、銀行と話すか、借入人を外す交渉をする
- 持分の買取り、売却して分配、裁判による分割のどれにするか決める
- 合意を書面にし、土地局で移転登記をするか、株主名簿を訂正する
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婚姻登録をしていないカップルには夫婦財産がありませんが、共同で築いた財産は共有となり、持分は等しいと推定され得ます。結果は、支払いの証拠、登記上の名義、借入人、そして取決めで決まります。別れる前に証拠を保管し、財産を一つずつ分けて考えてください。
当事務所は、住宅、土地、株式、事業への出資の証拠の確認、主張できる持分の見立て、財産と債務に関する書面の合意の作成、借入人を外すための銀行との調整、交渉がまとまらない場合の共有物分割請求の訴訟をお手伝いします。お電話は +66 92 254 2045、または詳細を送るからご連絡ください。家事サービスと民事サービスもご覧ください。
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