勝訴した債権者は、しばしば同じ状況に直面します。債務者の名義には何もないのに、家は妻の名義、車は夫の名義だったり、財産を持つ保証人がいたりします。問題は、債権者がそうした財産にどこまで手が届くかです。答えは、その財産が誰のものか、そしてその債務が誰の債務かによって決まります。
夫婦共有財産と特有財産
特有財産とは、各自が婚姻前に持っていた財産、婚姻中に相続または無償贈与によって取得した財産、そして相応の身の回り品です。
夫婦共有財産とは、婚姻中に取得したそれ以外の財産で、たとえば婚姻中に購入した、または稼いだ家、車、お金などです。誰の名義であるかを問いません。
そのため、権利証書上の名義がすべてを決めるわけではありません。妻の名義でも婚姻中に購入した家は、多くの場合、夫婦共有財産です。
個人の債務:共有財産は差し押さえられるが、配偶者は持分を除外できる
債務が一方だけのものであれば、債権者は次の財産に対して強制執行できます。
- 債務者の特有財産
- 夫婦共有財産:債権者は全体を差し押さえて売却できますが、債務者でない配偶者は、売却代金から自分の持分を除外するよう申し立てる権利があります
債権者が差し押さえられないのは、債務者でない配偶者の特有財産です。
実務上、夫婦共有財産である家を差し押さえた債権者は、債務者の持分からのみ弁済を受けます。配偶者の持分と抵当権の負担を差し引くと、残りの金額が強制執行の費用に見合わないことがあるため、差し押さえの前に計算しておくべきです。
共同の債務:配偶者も訴える必要がある
一部の債務は、夫婦が共同債務者となる債務とされます。たとえば、家庭の運営や家族の相応の扶養のために負った債務、夫婦共有財産に関する債務、共同で行う仕事から生じた債務、あるいは一方が自分だけの利益のために負ったが、もう一方が追認した債務です。
共同の債務であれば、債権者はもう一方の配偶者も訴え、その配偶者に責任を認める判決を得てはじめて、その配偶者の特有財産に対して強制執行できます。共同の債務であるのに一方だけを訴えた債権者は、この部分の機会を失うおそれがあります。そのため、訴える前に、その債務が共同の債務にあたるかを確認することが重要です。
保証人:債務者の履行遅滞で責任を負うが、抗弁する権利がある
保証人は、債務者が履行を遅滞したときに責任を負います。その範囲は債務者の債務を超えず、合意した保証の限度額も超えません。債権者が知っておくべきなのは、保証人には強制執行を遅らせたり回収額を減らしたりする複数の権利があることです。
- **債務者の履行遅滞の後、債権者は定められた期間内に保証人へ通知しなければなりません。**通知しなければ、保証人は、その期間の経過後に生じた利息と損害賠償を免れることがあります。
- **先に債務者から執行するよう求められます。**保証人が、債務者に弁済の手段があり、執行が難しくないことを証明できる場合です。
- **先に担保財産から執行するよう求められます。**債務に抵当権や質権の担保がある場合です。
- 保証人が連帯債務者として責任を負うとの合意は、現在では、特に自然人である保証人について、使える範囲が限られています。
保証人の財産に対して強制執行するには、保証人を訴訟に加え、責任を認める判決を得る必要があります。債務者だけに対する判決では、保証人の財産に対して強制執行できません。
保証人の側にいらっしゃる場合は、他人の保証人になるリスクで保証人の視点を読めます。
債権者のためのまとめ
- 目に見える財産が夫婦共有財産か特有財産か、そして誰のものかを確認する
- 債務が個人の債務か共同の債務かを確認する。共同の債務であれば、最初から配偶者も訴える
- 保証人がいる場合は、期限内に通知し、保証人を訴訟に加える
- 差し押さえを決める前に、配偶者の持分と抵当権の負担を差し引いて実際に得られる金額を計算する
債務者の名義には財産がなくても、家族や保証人にある場合は、弁護士チームにご相談ください。どの財産に強制執行でき、誰を訴える必要があるかの評価をお手伝いします。
本記事は一般的な情報であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。

