営業職の社員が休日にウェディングフォトを撮っている。別の社員は、会社と無関係の商品をネットで売っている。三人目は、会社が売っているのと同じ種類の仕事を、会社の顧客リストと会社のノートパソコンで受けている。経営者の多くは三つとも「おかしい」と感じ、就業規則に「従業員はいかなる他の仕事も行ってはならない」と書きます。しかし、その結果は執行しにくく、何も問題のない社員に不公平感を与え、本当に問題が起きたときには広すぎる禁止そのものが会社の弱点になります。
本稿は、無害な副業と、管理すべき利益相反を切り分け、そのうえで範囲が狭く、明確で、立証できるルールを作る方法を説明します。届出と承認、就業規則、顧客データの保護、そして疑わしいときの調査です。関連する話題は元従業員による顧客リスト利用の解説と従業員の不正に対する社内調査の解説にあります。引継ぎなしに退職した従業員については引継ぎなしの退職における使用者の選択肢の解説をご覧ください。
要点
会社は、あらゆる副業を禁止すべきではありません。何が利益相反に当たるかを明確に定義します。会社との競合、勤務時間の使用、顧客データ・会社資産・ブランドの利用、顧客や取引先の奪取です。そのうえで、従業員は副業を書面で届け出て、指名された担当者が承認し、違反した場合の結果を就業規則に定めます。
法的な枠組み(タイ法)。 従業員10人以上の使用者は、1998年(仏暦2541年)労働者保護法第108条に基づき、タイ語の就業規則を作成しなければなりません。退職金なしの解雇ができるのは、第119条に列挙された事由に限られ、これには書面による警告後の就業規則違反が含まれます。価値のある秘密情報は、2002年(仏暦2545年)営業秘密法第3条で保護されます。顧客個人に関する情報は、2019年(仏暦2562年)個人情報保護法の対象で、第37条が管理者の義務を定めています。雇用終了後に及ぶ競業避止は、1997年(仏暦2540年)不公正契約条項法第5条により、公正かつ合理的な範囲でのみ執行されます。
当事務所の実務上の見方。 理由のある狭いルールは、誰も執行できると信じない広い禁止よりも、通常は会社をよく守ります。会社が本当に守りたいもの、つまり顧客、データ、時間、評判は何かを考え、そのためだけにルールを書いてください。また、周知されていないルールや、一貫して適用されていないルールは、処分が必要になった日に頼りにくいことも忘れないでください。
仮の事例。 コンケン県にある従業員30人の小さな太陽光設備会社があります。営業部長が、終業後に自分の名義で小口の顧客向けに設備を設置しており、その際に会社の購入見込み客リストを使い、会社の見積書を雛形としてコピーしていました。また、経理の社員が毎週土曜日にオンラインで簿記を教えています。この会社を「太陽光会社」と呼びます。前者は対処が必要です。後者は、業務に影響せず、会社のデータや資産を使わない限り、問題にすべきではありません。
1. どの副業が無害で、どれが利益相反か
最初の基準は、従業員が他の仕事をしているかどうかではなく、その仕事が会社の利益を害するかどうかです。注意すべき特徴は五つあります。
- 会社との競合。 会社が売っているのと同じ種類の仕事を、同じ顧客層から受けること。
- 勤務時間の使用。 会社が賃金を払っている時間に、私的な顧客に対応したり、私的な仕事をしたり、副業先へ移動したりすること。
- 顧客データの利用。 氏名、価格、条件、購入履歴を持ち出して、私的な仕事を営業すること。
- 会社資産やブランドの利用。 例えば、ノートパソコン、会社が購入したソフトウェア、見積書、ロゴ、会社のメールなど。
- 顧客や取引先の奪取。 顧客に自分から買うよう誘ったり、会社の取引先から割引や個人的な利益を受け取ったりすること。
通常は無害なのは、異なる業種で、時間外に、自分の機材を使い、会社のデータや名前を使わず、集中力や勤務時間に影響しない仕事です。例えば、家庭教師、個人の中古品の販売、地域のボランティアなどです。重要なのは、実際に生じるリスクを問うことであり、すべてを覆う禁止を起案することではありません。
太陽光会社の例では、営業部長は五つの特徴に同時に複数当てはまります。簿記を教える経理担当者はどれにも当たらないため、会社は記録のために届出させれば足ります。
従業員が会社の取締役でもある場合、取締役は民商法典第1168条に基づく義務を負い、そこには、株主総会の同意なく会社と競合する同種の事業を営まないことが含まれます。取締役の賃貸・購入に関する関連当事者承認の解説をご覧ください。会社で長期にわたりフリーランスとして働いてきた人については、まず長期フリーランスと従業員の区別の解説で、実際に従業員に当たるかどうかを確認してください。
2. 届出と承認の手続はどうあるべきか
実務で機能する仕組みは四つの要素からなります。
- 副業と利益相反の可能性に関する届出書。 入社時、新しい副業を始めるとき、年次の見直しの際に記入します。仕事の内容、顧客、費やす時間、会社の資産やデータの使用の有無、取引先や競合先である親族・親しい関係者がいればその情報も記録します。
- 指名された承認者。 上長が一次確認し、人事または管理職が決定し、理由を保存します。利害関係のある上長が単独で承認してはいけません。
- 承認の条件。 例えば、勤務時間を使わない、顧客データを使わない、会社の顧客や取引先に接触しない、仕事の内容が変わったら再度届け出る、などです。
- フォローアップ。 決定を記録し、定期的に見直し、行動する前に従業員が相談できる窓口を設けます。
下の表は出発点となる分類です。自社の事業に合わせて調整してください。
| 従業員の行為 | 一般的な結論 | 理由 |
|---|---|---|
| 家庭教師、または無関係な業種での時間外の仕事(自分の機材を使用) | 許容(記録のため届出) | 競合せず、会社の資産やデータを使わない |
| 無関係な事業への少額の出資 | 許容 | 利益相反はないが、その事業が会社の取引先や顧客であれば届出 |
| 同業での副業で、同じ顧客を狙わないもの | 承認が必要 | 顧客、商品、地域の重なりを評価する必要がある |
| 日中の時間を使う、または勤務や安全に影響する副業 | 承認が必要 | 職務の中核に影響する |
| 会社の取引先・提携先の顧問、取締役、パートナー | 承認が必要 | 購買や価格の判断に影響し得る |
| 会社の取引先や顧客からの金銭・利益の受領 | 承認が必要、通常は禁止 | 誠実性のリスク。贈賄防止の内部統制の解説を参照 |
| 会社が売るのと同じ仕事を同じ顧客層から受ける | 禁止 | 使用者との直接の競合 |
| 会社の勤務時間、メール、ノートパソコン、ソフトウェアを私的な仕事に使う | 禁止 | 会社が負担する資産と時間を使っている |
| 顧客リスト、価格、計画を持ち出して私的な仕事を営業する | 禁止 | 秘密保持義務と個人情報の規律に反する |
| 許可なく会社名、ロゴ、見積書を使う | 禁止 | 会社のブランドを私的利益に使っている |
| 顧客や従業員を私的な事業へ誘う | 禁止 | 会社から顧客と人材を奪う |
条項のひな型(雛形です。事業の規模に合わせて調整し、使用前に弁護士の確認を受けてください)
第__条 副業および利益相反
1. 従業員は、次のいずれかに該当する場合を除き、就業時間外に他の仕事を行うことができる。
(a) 会社の事業と同種であり、会社と競合する場合
(b) 勤務時間を必要とする、または会社に対する職務の遂行に影響する場合
(c) 会社の顧客データ、取引情報、資産、ソフトウェア、名称または標章を使用する場合
(d) その仕事のために、会社の顧客、取引先または従業員を勧誘し、または接触する場合
2. 従業員は、副業または利益相反の可能性を、その仕事を始める前に、会社の書式により
人事部へ書面で届け出なければならず、仕事の内容が変わったときは改めて届け出る。
3. 会社は__営業日以内に決定し、条件を付して承認し、または理由を示して不承認とすることができる。
4. 第1項(c)および(d)は、雇用期間を通じて適用する。
5. 違反または故意の届出懈怠は、会社の就業規則に従って処理する。
3. 就業規則と解雇:第108条と第119条
禁止規定が処分の根拠になり得るのは、それが事前に書面で定められ、従業員に周知され、一貫して適用されている場合です。1998年(仏暦2541年)労働者保護法第108条により、従業員10人以上の使用者は、タイ語の就業規則を作成し、周知し、定められた期間内に労働監督官へ届け出なければなりません。利益相反の章を追加する場合も同じ手続に従います。労働組合や労働条件に関する協約がある場合は、1975年(仏暦2518年)労働関係法も確認してください。
実際の事案が生じたときは、処分は重大性に応じて、口頭の注意、書面による警告、解雇の順に重くします。第119条は、列挙された事由に限って退職金を支払わなくてよいと定めており、ここで関係するのは次のものです。
- 職務上の不正行為、または使用者に対する故意の犯罪行為
- 使用者に故意に損害を与えること
- 書面による警告後の、就業規則・規程・適法で公正な命令への違反(重大な場合は警告不要。警告の有効期間は違反の日から1年)
注意点が三つあります。第一に、副業をしているだけで当然に第119条の事由になるわけではありません。規定が禁止を明確に定めているか、実際の行為が不正や故意の損害に当たるほど重大かを見ます。第二に、顧客データを持ち出して私的な仕事を売り込み、それを裏付ける書類がある場合と、土曜日に家庭教師をしている場合とは、まったく別物です。第三に、労働裁判所が解雇を不当と判断した場合、1979年(仏暦2522年)労働裁判所設置・手続法第49条に基づき補償を命じることがあり、理由が弱いときはこれがリスクになります。いずれも事実関係と裁判所の裁量によります。従業員側の立場と解雇手続については従業員の解雇に関する権利の解説をご覧ください。
4. 営業秘密と顧客データをどう守るか
営業秘密。 2002年(仏暦2545年)営業秘密法第3条は、取引上の情報が公知でないこと、秘密であることにより商業的価値があること、保有者が秘密を保つための適切な措置を講じていることを求めます。要素が欠けると、同法による保護は弱まります。会社がすぐにできるのは、アクセスを必要な者に限ること、従業員と秘密保持契約を結ぶこと、重要な文書に表示を付けること、誰が何にアクセスしたかを記録することです。
顧客の個人情報。 個人の氏名、電話番号、住所、購入履歴は、2019年(仏暦2562年)個人情報保護法上の個人情報です。管理者である会社は、第37条に基づき、適切な安全管理措置を講じ、権限のない利用や開示を防ぐ義務を負います。したがって、従業員が私的に使うためにデータを持ち出すと、秘密保持の面だけでなく、データ保護法の面でも会社が困難な立場に置かれます。アクセス権限を設定し、アクセス記録を残し、顧客データを個人のメールやアプリへ転送することを禁じてください。従業員と顧客のデータの扱いについては人事担当者のためのPDPAと従業員データの解説をご覧ください。
太陽光会社の例では、購入見込み客のリストと交渉済みの価格は、営業秘密に当たり得る情報であり、同時に個人情報でもあります。会社は、誰がいつそのデータをシステムから取り出したかを記録しておくべきです。
5. 雇用中と雇用終了後の競業避止
雇用中。 使用者との競合や情報の利用の禁止は、課しやすいものです。使用者に明らかな正当な利益があり、従業員は賃金を受け取っているからです。第2章のように、実際のリスクに合わせて書いてください。
雇用終了後。 元従業員の就業や事業の自由を制限する条項は、事情が異なります。1997年(仏暦2540年)不公正契約条項法第5条により、当然に執行できるわけでも、当然に無効になるわけでもありません。制限される側に通常予想される以上の重い負担を課す場合は、状況に照らして公正かつ合理的な範囲でのみ執行されます。裁判所は下の点を見るため、各点について範囲を絞って起案してください。
| 項目 | 起案の方法 |
|---|---|
| 業務の範囲 | 従業員が実際に関与した中核事業と競合する仕事や役割に限り、業界全体にはしない |
| 地域 | 会社が実際に競合している地域(従業員の担当県や営業地域など)に限る |
| 期間 | 短く、正当化できるもの。情報や顧客関係が価値を保つ期間に結び付ける |
| 正当な利益 | 競合者を締め出すだけでなく、秘密情報、顧客データ、投資した取引関係を守るためであることを明記する |
| 適する職位 | 重要な情報に触れる階層に限り、全従業員には課さない |
| 対価 | 期間が長い場合は、制限期間中の支払を検討する。公正と評価される可能性が高まる |
顧客や従業員の勧誘の禁止(ノンソリシテーション)や、秘密情報の使用禁止は、同じ業界で働くこと自体の禁止よりも執行しやすいのが通常です。職業の選択を制限する度合いが小さいからです。ただし、結果は事実関係と裁判所によります。勝てることを前提に起案せず、第4章の秘密保持の保護と併せて使う道具と考えてください。雇用終了後の条項については元従業員が顧客リストを持ち出す場合の解説も参照してください。
6. 競合する副業が疑われるとき:調査の手順と証拠
噂を聞いた時点で処分してはいけません。次の順に進めます。
- 担当者を決める。 利害関係のない人事または管理職が担当し、知る者を限定し、情報を受けた日付を記録する。
- 適用される条項を確認する。 雇用契約、就業規則、従業員が確認済みの利益相反方針、すでに提出された副業の届出を見る。
- 会社が正当にアクセスできる証拠を保全する。 例えば、事前に周知した方針に基づく会社のメールや業務システム、顧客データへのアクセス記録、印刷・ダウンロードの履歴、見積書。複製を作り、誰がいつ収集したかを記録する。
- 権限を超えた調査を避ける。 従業員の個人アカウントに入らない、不正に入手したパスワードを使わない、法的助言なく従業員を尾行させる人を雇わない。
- 本人に説明させる。 疑いと証拠を書面で示し、相当な回答期間を与え、説明を記録する。
- 均衡のとれた決定をする。 注意、書面による警告、データにアクセスできる役割からの異動、または解雇。理由は就業規則と第119条に合致させる。
- 残るリスクを閉じる。 データへのアクセスを外し、資産を回収し、データを使っている者に警告書を送り、請求し得る損害を評価する。社内調査の詳細は従業員の不正に対する社内調査の解説と従業員調査サービスをご覧ください。
調査の事実記録のひな型(雛形です。実際の事実に合わせて調整してください)
件名:利益相反に当たり得る副業の疑い
対象従業員:______ 職位:______ 情報を受けた日:______
受領した事実:______
保全した証拠:(1) ______日付の顧客データへのアクセス記録
(2) 見積書ファイル ______(______に作成)
(3) 関連するメッセージ/メール ______(______が______に収集)
関連する条項:就業規則第____条 / 利益相反方針第____条
従業員の説明:______(______に受領)
結論と理由:______
措置:______ 決定者:______ 日付:______
7. 利益相反ルールのチェックリスト
方針と就業規則
- 利益相反を、会社との競合、勤務時間の使用、顧客データの利用、資産・ブランドの利用、顧客や取引先の奪取という五つの特徴で明確に定義する
- この章を就業規則に加え、従業員に周知し、従業員10人以上であれば第108条に従って届け出る
- 違反の結果を重大性の順に定め、第119条と整合させる
届出と承認
- 副業の届出書、承認者、決定の期限を用意する
- 入社時、新しい仕事を始めるとき、年次の見直しの際の届出を求める
- 届出書と承認の理由を従業員ファイルに保存する
データと資産
- 顧客データへのアクセスを役割ごとに制限し、アクセス記録を残す
- 秘密保持契約を結び、個人のアカウントやアプリへのデータ送信を禁じる
- 会社のメールと端末の使用方針を事前に周知し、PDPAと整合させる
雇用終了後の競業避止
- 重要な情報に触れる職位にのみ使う
- 業務の範囲、地域、期間、正当な利益を狭く起案する
- 第5条により公正な範囲でのみ執行されるため、使用前に弁護士の確認を受ける
調査
- 利害関係のない担当者を指名し、証拠保全の手順を定める
- 処分の前に、従業員に書面で説明させる
- 従業員の個人アカウントに権限なくアクセスしない
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良いルールは、すべてを禁止するものではありません。会社が何を守るのか、誰が承認するのか、違反したらどうなるのかを、明確に示すものです。
当事務所は、利益相反方針、副業の届出書、就業規則、秘密保持契約、範囲を絞った競業避止条項の起案と、疑わしい事案が生じたときの調査の計画をお手伝いします。初回のご相談は、+66 92 254 2045 までお電話いただくか、詳細をお送りください。人事書類と就業規則および従業員調査もご覧ください。
本ガイドはスワンワラ法律事務所(コンケン県の法律事務所、1986年設立)が発行したものです。一般的な情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。

