結論
いいえ。一方の地位が終わっても、もう一方が自動的に終わることはありません。 取締役、従業員、株主、署名権限者は、発生原因も手続きも異なる4つの地位です。一人が4つすべてを同時に持つことはありますが、変更するときは地位ごとに別々の手続きが必要です。
取締役の解任には株主総会決議が必要です(民商法典第1151条)。従業員の解雇は労働法に従い、予告、退職金、不当解雇の回避が問題になります。株式は譲渡するまで保有者のもとに残り、署名権限は登記と銀行で別々に変更します。
毎回最初に確認すべきことは、その人が法的に「従業員」なのかどうかです。給与を受けていても誰の指揮も受けない取締役がいて、解雇の結果が大きく変わるからです。
1. 4つの地位をどう分けるか
| 地位 | 発生原因 | 終了原因 | 確認する資料 |
|---|---|---|---|
| 取締役 | 定款に従い株主総会が選任 | 株主総会による解任、辞任、任期満了 | 決議、商務省事業開発局(DBD)の登記 |
| 従業員 | 雇用契約(第575条) | 契約解除、辞職、期間満了、解雇 | 雇用契約書、給与明細、社会保険 |
| 株主 | 設立時の引受または譲渡 | 株式の譲渡その他の法的原因 | 株主名簿、基本定款、株主間契約 |
| 署名権限者 | 会社の宣誓書、取締役決議、銀行の委任状 | 登記と銀行で別々に変更 | 会社証明書、口座開設書類、署名見本 |
混同しやすいのは、社内で使う代表取締役、事業部長、部門長などの肩書きです。職務上の名称にすぎず、法律上の取締役ではないものもあります。登記簿でその人が取締役として記載されているか確認してください。
2. 取締役はどう解任するか
第1151条は「取締役を選任または解任できるのは株主総会のみである」と定めています。最高裁判例12046/2547では、定款が株主総会による選任を定め、解任には触れていませんでした。最高裁は第1151条を適用し、以前に期限を定めず選任する決議があっても、株主総会は解任できると判断しました。解任できるのは株主総会だけなので、残りの取締役が合議で解任することはできず、株主総会に諮る必要があります。
- 定款が定足数と多数決をどう定めているか確認します。
- 招集通知を適切に出し、取締役の解任を独立した議題として記載します。最高裁判例3413/2560は、取締役の解任は株主が事前に知るべき重要事項であると判断しました。通知に記載がないまま「その他の議題」で解任を決議すると、議題外の決議となり違法です。
- 解任される人が多くの株式を持つ場合は、議決権が足りるか、株主間契約が解任権を制限していないかを先に確認します。
辞任という別の道もあります。第1153/1条は、取締役が会社に辞任届を提出し、辞任は辞任届が会社に到達した日から効力を生じると定めています。登記を待つ必要はありません。この規定ができる前にも、最高裁判例2203/2547は、辞任は会社に意思表示をした時点で効力が生じると判断しました(代理の考え方)。ただし、登記簿を実態に合わせるため、会社は第1157条に基づき取締役の変更を登記する必要があります。
3. 解雇は別の手続き
その人が従業員であれば、解雇は労働者保護法(仏暦2541年)に従います。
予告(第17条) 期間の定めのない契約では、賃金支払日またはその前に書面で予告し、次回の賃金支払日に効力を生じさせることができます。予告は3か月を超える必要はありません。使用者は、予告した終了日までの賃金を支払って直ちに退職させることもできます。予告なしで解雇した場合、第17条の1により、予告どおりに終了していれば受け取れたはずの賃金を支払う必要があります。
退職金(第118条) 解雇された従業員が所定の期間継続勤務していれば、最終賃金を基準に退職金が支払われます。
| 継続勤務期間 | 退職金(最終賃金を基準に最低) |
|---|---|
| 120日以上1年未満 | 30日分 |
| 1年以上3年未満 | 90日分 |
| 3年以上6年未満 | 180日分 |
| 6年以上10年未満 | 240日分 |
| 10年以上20年未満 | 300日分 |
| 20年以上 | 400日分 |
退職金が不要な場合(第119条) 職務上の不正または使用者に対する故意の犯罪、故意に損害を与えた場合、重大な過失で重大な損害を与えた場合、適法で公正な就業規則や命令に違反し書面で警告を受けた場合(重大な事案を除く)、正当な理由なく3労働日連続で職務を放棄した場合、確定判決による禁錮刑を受けた場合です。使用者は理由となる事実を解雇通知に書くか、解雇の際に伝える必要があり、そうしなければ後から主張できません。
「取締役としてもう意見が合わない」は第119条の事由ではありません。この理由で解雇しても退職金は必要で、従業員は労働裁判所設置法および労働事件手続法(仏暦2522年)第49条に基づき不当解雇を主張できます。その場合、裁判所は復職に代えて損害賠償を命じるか、復職を命じることがあります。
4. 取締役は本当に「従業員」か
第575条の雇用契約とは、従業員が使用者のために働くことを約束し、使用者が働く間の賃金を支払うことを約束する契約です。裁判所は書面の名称ではなく事実を見ます。
- 指揮命令 誰かが指示を出し、勤務時間を決め、評価していますか。会社の方針を自分で決め、上に誰もいない人は、従業員よりも取締役の性格が強くなります。
- 賃金 明細、源泉徴収、社会保険を伴う定期的な給与か、それとも経営者が会社から引き出しているだけの金銭か。
- 契約と規則 雇用契約書、就業規則、休暇や出退勤の記録があるか。
- 会社での役割 会社を経営する取締役は、使用者の側で行為していると見られやすくなります。
最高裁には、取締役であった当事者が退職金などの従業員の権利を主張した事件が複数あります。従業員と扱われた事件もあれば、取締役が使用者の側で行為したとされた事件もあり、結論は事実によって分かれます。本ガイドは固定ルールを示しません。「取締役は従業員ではあり得ない」「給与を受けていれば必ず従業員」と決めつけないでください。
5. 給与と取締役報酬
この2つは根拠が別です。給与は雇用契約に基づき、取締役報酬は定款と会社の決議に基づきます。取締役を解任すると、取締役報酬は決議に従って止まりますが、従業員の給与は雇用が適法に終了するまで支払う必要があります。
- 「給与」として何を、「取締役報酬」として何を支払ってきたか確認します。区別なく一括で支払っていると、紛争時に説明が難しくなります。
- 税務と社会保険は、再編の前に会計士に相談してください(会計・税務)。
6. 株式はなくならない
取締役でなくなることや解雇されることで、株式が移転または没収されることはありません。会社や他の株主がその人を株主からも外したい場合は、定款、株主間契約、または新たな合意に基づく売買・譲渡を行い、株主名簿に記録する必要があります。逆に、大株主は株主総会での議決権を保ち、自分を再び取締役に選ぶことさえできるため、解任の採決前にこの点を評価しておきます。
同族企業や複数の共同所有者がいる会社は、ファミリービジネス:役割、報酬、意思決定のルールも参照してください。
7. 署名権限は登記と銀行で別々に変更する
会社を拘束する権限は、DBDの会社証明書に記載されています。民商法典第1157条は、取締役に変更があったときは、変更の日から14日以内に会社が登記するよう定めています。最高裁判例1328/2535では、株主総会が取締役2名の退任を決議しましたが、会社証明書に2名の名前が残り、解任の登記もされていなかったため、最高裁は2名を引き続き取締役と扱いました。
銀行は登記簿を見て自動的に更新することはありません。新しい署名権限者を指名する決議または書面と新しい署名見本を、銀行ごとの所定様式で提出します。会社印(ある場合)、ネットバンキングのトークン、以前の委任状も回収または取り消します。
8. 何を引き継ぐか
詳細は取締役が辞任したら何を引き継ぐかを参照してください。要点は次のとおりです。
- 銀行の署名権限、トークン、カード、ネットバンキング。
- 会社印(ある場合)、各種名簿、重要書類、進行中の契約。
- 会社のメール、会計システム、クラウド、ドメイン、ウェブサイト、広告プラットフォーム。
- その人に出した委任状と、その人が出した委任状。
- その人が保管する資産。パソコン、携帯電話、車両、会社のカード。
- その人が担当していた債権者・債務者への連絡と取引先への通知。
- 会社の債務を保証している場合は、債権者と別に交渉します。取締役が辞任し株式を売却しても保証責任は残るかを参照してください。
9. 会社の3類型と論点の違い
プロ経営者を雇う会社 経営者が取締役を兼ねる場合と、従業員のみの場合があります。兼ねるときは、取締役でなくなることが雇用にどう影響するか、解雇理由になるか、どの報酬が止まるかを、雇用契約と決議に書いておきます。書いてなければ、取締役の地位を外すだけでは雇用契約は終わりません。
同族企業 創業者や親族が取締役、株主、給与受取人を兼ねることが多くあります。書類と支払いを分け、株主間契約や家族間の合意で、役割ごとの退任方法を事前に決めておきます。対立が始まると、親族関係が公正な解雇を難しくします。
外国企業のタイ子会社 外国人の取締役や幹部は親会社に任命され、ポジションと使用者に結びついた就労許可証を持っていることがあります。役職や雇用が終わるときは、許可証とビザの通知や変更が必要か(雇用主・職位・勤務地の変更を参照)、親会社がグループの書類に従って後任を任命するかを確認します。両方の法人から報酬を受ける幹部は、実際の使用者がどちらかを確認します。
10. よくある間違い
- 第1151条が株主総会にのみ権限を与えているのに、取締役会決議で取締役を解任する。
- 解雇すれば取締役ではなくなる、または取締役を解任すれば退職金は不要と考える。
- 取締役変更を14日以内に登記しない、または登記したが銀行に通知しない。
- 口頭で辞めさせ、理由を書いた通知がないため、後から第119条の事由を主張できない。
- 役割が終わった後も、システム、メール、銀行口座へのアクセスを残す。
- 給与と経営者が会社から引き出す金銭を混同する。オーナーの給与、配当、株主貸付を参照してください。
11. 役割変更・解雇・引き継ぎ前のチェックリスト
- その人が持つ地位(取締役、従業員、株主、署名権限者)と社内の肩書きを明確にする。
- 定款、株主間契約、雇用契約が、役割を離れる場合について何を定めているか読む。
- 賃金、指揮命令、実際の働き方から、第575条の従業員かどうかを評価する。
- 取締役を解任するなら、不備のない総会招集通知と決議を用意する。
- 解雇するなら、第119条の事由を確認し、第17条の予告と第118条の退職金を計算する。
- 理由の事実を明記した解雇通知を出す。
- 取締役の変更を14日以内に登記する(第1157条)。
- 新しい署名権限者、署名見本、オンライン認証情報を銀行に届け出る。
- 資産、会社印、書類を回収し、システムへのアクセスを遮断する。
- 株主としても退く場合は株式を整理し、保証についても整理する。
- 外国人の場合は、就労許可証とビザを確認する。
- 取引先、顧客、従業員に後任者を伝える。
関連ガイド
- 取締役が辞任したら、会社を止めないために何を引き継ぐか — 書類、署名権限、銀行、システムの引き継ぎ
- タイで受け取れる退職金はいくら? — 退職金の率と計算
- 解雇されたらどうするか — 従業員側の視点と弁護士が必要な場面
- ファミリービジネス:役割、報酬、意思決定のルール — 同族企業
- 雇用主・職位・勤務地の変更 — 外国人幹部の就労許可証
取締役の解任、従業員の解雇、株式の譲渡、署名権限者の変更は、それぞれ別の4つの手続きです。実行したい手続きごとに決定と書類を整える必要があり、ひとつが他を連れていくと期待してはいけません。
当事務所は、その人の4つの地位の確認、取締役解任と解雇の順序設計、総会招集通知・決議・解雇通知の作成、登記と引き継ぎの対応をお手伝いします。初回のご相談は +66 92 254 2045 までお電話いただくか、詳細を送信してください。あわせてコーポレートセクレタリー業務、労務コンプライアンス、顧問契約もご覧ください。
本ガイドはスワンワラ法律事務所(コンケン県の法律事務所、1986年設立)が発行したものです。一般的な情報であり、特定の事項に関する法的助言ではありません。

