デザイン会社、受託製造の工場、請負業者、エージェンシー、そして多くのサービス業に、同じ兆候があります。チームは常に忙しく、発注書は次々に入るのに、年末になっても利益は増えていません。仕事が途切れるのが怖くて、経営者は受注を続けますが、実は一部の種類の案件が、他の案件の利益を食っていることがあります。
最初に提示した価格は、その案件の利益ではありません。案件の本当の利益とは、実際に使った労働力、修正作業、回収していない範囲外の作業、違約金、顧客の入金を待つ間に固定される資金のコスト、そして人手が空いていないために断らざるを得なかった案件を差し引いた後に残るものです。本ガイドでは、案件ごとの利益の計算方法と、どの契約条項が、良さそうに見える案件を赤字の案件に変えてしまうのかを説明します。
結論
受注すべきなのは、隠れたコストを差し引いた後の利益が、チームの時間に見合っていて、重要なリスクを契約で防げる案件です。価格は良くても、範囲が曖昧、修正が無制限、支払いが遅い、違約金が重い案件は、すべてを合算すると採算が合わないことが多くあります。解決策は、難しい案件をすべて断ることではありません。業務範囲と変更の方法を書面で定め、判断基準を前もって設けることです。
ルール(タイ法)。 民商法典第587条の請負契約とは、請負人が注文者のために仕事を完成させることを約束し、注文者がその仕事の完成に対して報酬を支払うことを約束する契約です。請負人は、第600条により、法律の定める期間内の仕事の瑕疵について責任を負います。契約で別の定めをした場合を除きます。この責任に関する訴えの時効は第601条にあります。違約金は第379条に従い、裁判所は第383条により減額できます。
当事務所の実務的な見解。 請負は、結果で測ります。契約書が結果を広く書き、修正の回数に定めがなければ、請負人はいつまでも作業を続けさせられます。結果を測定できる形で書き、修正の回数に合意し、それを超える作業には変更指示書を必要とすると定めてください。
1. 案件ごとの利益:何を計算するか
完了した案件を5〜10件選び、提示した価格ではなく実際のデータで比較表を作ってください。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 実際に回収した収益 | 提示した金額を全額回収できたか。違約金や値引きで差し引かれていないか。 |
| 実際の作業時間 | 実際にどれだけかかったか。会議、情報待ち、修正を含む。 |
| 修正作業 | 何回修正したか。そのうち何回が顧客の要望変更によるものか。 |
| 範囲外の作業 | 代金を請求せずに行った作業は何件か。 |
| 材料費と下請けのコスト | 見積りを超えたか。超過分は誰が負担したか。 |
| 遅延 | 納期に遅れたか。違約金や損害賠償はあったか。 |
| 回収を待って資金が固定された期間 | 作業の終了後、入金までどれくらいかかったか。 |
| 断らざるを得なかった案件 | この案件に使った人手のために、他の案件を断ったか。 |
この表から、どの種類の顧客、どの種類の案件、どの工程で利益が消えているのか、パターンが見えてくることが多くあります。そのうえで、価格を直すか、契約を直すか、その種類の案件の受注をやめるかを決めます。
注意すべきは、見積書の粗利益を基準にしないことです。修正や範囲外の作業に使われた労働力が含まれていないからです。作業時間を記録し、書類を整理して保管していれば、経理担当者はプロジェクトごとのコストを整理できます。ただし、事業の判断のために数字をどう解釈するかは、経営者の仕事です。
2. 案件を赤字にしがちな隠れたコスト
2.1 曖昧な業務範囲
「ウェブサイトの制作」「システムの設置」「サンプルに従った製造」とだけ書かれた注文は、何が含まれ、何が含まれないかを示していません。顧客は広く解釈し、チームは狭く解釈する傾向があり、請求の時期になって争いが始まります。優れた見積書には、含まれるもの、含まれないもの、顧客が用意すべきものの3つがあります。
2.2 上限のない修正作業
契約が顧客に「満足するまで」の修正を認めていると、請負人には仕事が完了したとみなす基準がありません。価格に含まれる修正の回数を定め、それを超えたら追加で請求すると定めてください。あわせて、仕様と異なる仕事の欠陥(請負人が無償で直さなければならないもの)と、顧客の要望の変更(新しい作業になるもの)を区別してください。
2.3 工事保証金(リテンション)と最終回の請求
「最終検収」や「保証」に結びついた最後の金額は、予想より長く未払いになることがあります。返還の明確な条件、返還の日、そして引渡しとみなされるものを定めてください。返還されない工事保証金をご覧ください。
2.4 違約金と損害賠償
日割りの遅延違約金は、利益に直接かかわります。わずかな遅れで案件全体の利益が消えかねないからです。違約金の交渉、相殺、責任上限の詳細は、大手顧客との契約書を署名前に確認するにあるため、本ガイドでは繰り返しません。強調したいのは1点だけです。遅延がどちらの側から生じたのかを確認してください。顧客に原因がある場合、たとえば情報の提供が遅れた、承認が遅れたときは、納期の延長が認められ、違約金を課されないようにすべきです。
2.5 支払いの遅れ
顧客の支払いが遅れると、本来回転するはずの資金が止まるため、現実のコストになります。キャッシュサイクルの管理は黒字なのに資金が足りない、顧客が支払わない場合は未払いの請求書をご覧ください。
2.6 機会費用
よくない案件に人手を押さえられているチームは、利益のよい案件を受けられません。これは帳簿に現れないコストですが、案件を断る基準を設けるべき理由です。
3. 受注と納品に関する法律上の点
3.1 請負契約(第587条)
請負人としては、仕事を完成させることを約束しています。この点は、労働契約や、時間で計算するサービス契約とは異なります。その結果、約束した内容に従って仕事が完成しなければ、報酬の全額を受け取る権利がなくなったり、損害賠償を請求されたりするおそれがあります。したがって、契約書の書き方、つまり成果の完成が必要な仕事なのか、時間に応じたサービスなのかが、自社のリスクに直接影響します。価格設定の方式(一括、時間単価、月額)については、サービスの価格設定をご覧ください。
3.2 瑕疵についての責任(第600条および第601条)
請負人は、引渡しの日から法律の定める期間内に現れた仕事の瑕疵について責任を負います。一部の建造物については、通常の仕事より期間が長くなります。契約で別の定めをした場合は、その定めによります。また、請負人が瑕疵を隠していた場合は、その期間による責任の制限を受けないことがあります。第601条は、瑕疵が現れてから1年を過ぎると訴えを提起できないと定めています。期間の数え方と条件は、事実関係や判例によって異なります。実際の事案で根拠として挙げる前に、弁護士に確認してもらってください。
実務上、大手顧客の契約書は、独自の保証を定めていることが多く、法律より長く、顧客が管理する日から数えることもあります。そのため、確認できる起算日を定め、請負人が選べる対応方法(たとえば修理か交換か)を明記し、誤った使い方や他の者による改変に起因する瑕疵は除外してください。
3.3 検収
注文者は、契約に従って仕事を検収しなければなりません。異議を述べずに受け取ったことは、後の請求権に影響します。そのため請負人は、検収の手続を書面で定めるべきです。測定可能な基準、顧客が回答すべき期間、期間内に異議がなければ受領したものとみなす規定を入れます。逆に、請負人は、納品のたびに証拠を持っておくべきです。
3.4 違約金(第379条および第383条)
当事者は違約金を合意でき、不相当に高額なときは裁判所が減額できます。ただし、減額には訴訟で争うことが必要です。請負人は、署名の前に、上限と除外条件を交渉するべきです。
3.5 税務と書類の発行
サービス業では、入金前に税務請求書を発行すると、入金前に付加価値税を納付しなければならなくなることがあります。これは黒字なのに資金が足りないで説明したとおりです。契約が分割払いの場合や手付金がある場合は、経理担当者に確認してもらってください。
4. 変更指示書(Variation Order)
変更指示書とは、作業をどう追加・削減・変更するか、価格と納期にどれだけ影響するかを合意する短い書類です。無償での作業を防ぐ最良の手段です。
契約書に入れるべき条項は次のとおりです。
- 元の範囲を超える作業はすべて、着手前に顧客が書面で承認した変更指示書が必要である。
- 承認できる顧客側の権限者を指定する。メールを送ってきた者なら誰でもよいわけではない。
- 変更指示書には、作業内容、価格または計算方法、納期への影響を示さなければならない。
- 顧客が、作業を急がせるために承認前に作業を指示した場合は、合意した料金で支払うことを顧客が認める。
条項例(説明のための例であり、実際の案件に合わせて調整が必要です)
第...条 業務の変更
(1) 添付書類Aの範囲外の業務は、追加業務とする。
請負人は、注文者が第...条の権限者として変更指示書に署名するか、
電子メールで確認するまで、追加業務に着手する義務を負わない。
(2) 変更指示書には、業務内容、報酬、納期への影響を記載しなければならない。
(3) 注文者が署名前の着手を求めた場合、注文者は、添付書類Bに記載の料金で
追加業務の報酬を支払うことに同意する。
(4) 注文者が、情報の提供または承認を合意した時期より遅らせた期間だけ、
納期は延長される。
参考として、この方法は、LINEを主な連絡手段とする小規模な顧客にも使えます。顧客が「承諾」を押す要約メッセージに置き換え、スクリーンショットを保管してください。ただし、承認する者は、顧客の会社を拘束できる人物でなければなりません。誰がタイの会社を拘束できるかをご覧ください。
5. 受注・辞退を判断するチェックリスト
承諾する前に、実際のデータで次の問いに答えてください。
金銭面
- 価格は、修正作業と実際にかかった時間を含む全コストを賄っているか。
- 支払条件はどうか。手付金や分割払いはあるか。顧客は期日どおりに支払ってきた実績があるか。
- 請求書からの控除や、長期にわたる未払いの工事保証金はないか。
範囲とリスク
- 業務範囲は、仕事がいつ終わるかが分かるほど明確に書かれているか。
- 修正の回数の上限と、変更指示書の手順があるか。
- 違約金に上限があり、顧客に原因がある場合は除外されているか。
- 自社の責任に上限があるか。
人手と戦略
- この案件のために、より良い案件を断らなければならなくならないか。
- チームに十分な専門性があるか。新たに学ぶ必要があり、想定より高くつかないか。
- この案件は、より良い顧客を得る機会になるか。それとも負担が増えるだけか。
- この案件で、1社の顧客に頼りすぎることにならないか。大口顧客1社への依存をご覧ください。
判断基準
前もって書面で定めてください。金銭面の回答がどれか1つでも合格しなければ、価格または条件を見直す。リスク面で2つ以上合格しなければ、受注の前に交渉して修正する。顧客が修正に応じなければ、断る。これらの基準の数値は事業ごとに異なります。前もって定めておくと、顧客から圧力を受けたときにも判断できます。
6. 顧客を失わずに断る、または新しい条件を提示する方法
- 範囲を縮小した選択肢を提案する。 「できません」と答える代わりに、たとえば、まず第1フェーズだけ行うと提案する。
- 2つの価格帯を提示する。 無制限の修正を含まない基本のプランと、保証と追加の修正を含むプラン。
- 手付金または第1回分を求める。 人手を確保するための条件として。
- 事業上の理由を伝える。 たとえば、人手が埋まっている、この条件では品質を保証できない、など。
- 受け入れられる条件で締めくくる。 提案が妥当だと分かれば、応じてくれる顧客は多い。
7. 利益を守る契約と社内プロセスの見直し
自社の雛形に入れておくべき標準的な条項は次のとおりです。
- 業務範囲と含まれないもの
- 顧客の義務。たとえば、情報、材料、現場への立入りを期限内に提供すること
- 価格に含まれる修正の回数
- 変更指示書
- 検収と、受領したとみなす条項
- 支払期日と支払遅延の効果
- 保証と起算日の条件
- 責任上限と間接損害の除外
- 顧客による解約と、すでに行った作業の対価の支払い
- 全額が支払われた場合の成果物の所有権
社内では、署名の前に契約の承認手順を設けてください。法務部門がない会社の契約審査・承認プロセスをご覧ください。あわせて、各案件の実際の作業時間を記録し、次回以降の利益の評価がより正確になるようにしてください。
8. 単発の仕事ではなく、安定して入金がある事業をつくる
分析の結果、単発のプロジェクト型の仕事は変動が大きく、人手を多く消費することが分かったなら、収益をより予測しやすいモデルを検討してください。たとえば、月額契約や保守契約です。単発案件から月額収益へと、ビジネスモデルと法的な影響の全体像を扱った中小企業のためのビジネスモデルガイドをご覧ください。
9. まとめのチェックリスト
- 完了した案件を5〜10件選び、修正作業と範囲外の作業を含めた本当の利益を計算した。
- どの顧客、どの種類の案件が、最も利益を食っているかを把握している。
- 見積書に、含まれるもの、含まれないもの、顧客が用意すべきものが書かれている。
- 価格に含まれる修正の回数と、追加の修正の料金を定めている。
- 変更指示書の雛形があり、追加作業の前に毎回使っている。
- 違約金に上限があり、顧客に原因がある場合は除外され、その遅延に対する唯一の救済になっている。
- 保証期間が、確認できる日から始まる。顧客が管理する日からではない。
- 手付金または分割払いがあり、支払条件が証明できる出来事に結びついている。
- 受注・辞退の基準が、前もって書面で定められている。
- 案件ごとの作業時間とコストを記録し、四半期ごとに見直している。
関連ガイド
- 大手顧客との契約書を署名前に確認する:違約金、控除、責任上限、検収
- 返還されない工事保証金:最終回の入金が滞っているとき
- 黒字なのに資金が足りない:キャッシュサイクルと、回収期間を短くする契約条項
- サービスの価格設定:一括、時間単価、月額:契約に反映すべき価格設定の方法
- 家の建築や請負で工事が終わらない:注文者の立場から見た請負の紛争
- MSAとSLA:月額の仕事におけるサービスの範囲と変更の条件
案件を受ける前に、修正、違約金、回収を待って固定される資金を差し引いた後の利益を計算し、業務範囲、修正の回数、変更指示書を契約に書いてください。価格は良くても範囲が曖昧な案件は、採算が合わないことが多くあります。
当事務所は、中小企業のために、受注契約、業務範囲、変更指示書、支払条件の作成と審査を行います。初回相談をご希望の方は、+66 92 254 2045 までお電話いただくか、詳細をお送りください。あわせて契約書・書類、顧問契約(月額リテーナー)もご覧ください。
本ガイドはスワンワラ法律事務所(コンケン県の法律事務所、1986年設立)が発行したものです。一般的な情報であり、特定の事項に関する法的助言ではありません。

